京都マラソン2017 宗平君の完走記です

 昨日は今シーズンのしめくくりとなる京都マラソンに出場した。生まれ育った京都市内を西から東へと走って一周するのは面白いだろうなぁと思っていたが、参加ランナー16,000人よりもはるかに多くの人が応募するため、昨年は抽選にはずれた。今回は倍率4倍を運良く突破できたので、気合い満々である。
 今回の伴走は前半がジプシー、後半がかりんとうさんだ。ジプシーは昨年まで続いた視覚障害者京都マラソンを中心になって準備してくれた快速ランナーだ。かりんとうさんは昨年から伴走を始められ、今回嬉しいことにレース伴走デビューしてくださった。
 「調子はばっちりか?」と言われれば、悪くはないのだけれど、少しばかり気になることが二つ。一つは、今年になってから日曜に雨や雪になることが多く、練習をややサボり気味だったことと、ロング走ができていなかったこと。もう一つは、先月から足の指の角質が痛み出していて、着地するのに少し難があるということだ。
 そんなこんなで迎えた京都マラソン。ランナーが16,000人もいて当日の受付ができないので、前日にジプシー&かりんとうさんと一緒にみやこめっせで受付をする。そして、コース地図を見ながら、作戦タイムだ。前半はランナーも詰まっているし、アップダウンも多いのでゆっくり走り、賀茂川に入った辺りから調子を上げていこうということにした。
  これまでのフルマラソンのベストタイムは昨年11月の福知山マラソンで出した4時間16分21秒なので、やはりそれよりは速く走りたい。大きな目標としてはサブ4となるが、現実的にはネットタイムで4時間一桁台を達成できると嬉しいところだ。
 そして迎えたレース当日。スタートは西京極陸上競技場なので、家からは行きやすい。しかも京都マラソン開催に合わせて西京極駅に快速急行を止めてくれてらくちんだ。ゴールは平安神宮。完走すると、弟夫婦の結婚式以来の平安神宮となり楽しみだ。ジプシーと西京極のホームで待ち合わせて、いざ会場へ。
 さすがに16,000人は大人数だ。その人数のわりには、トイレも荷物預けもスムーズに終わり、開会セレモニーとなった。スタートするまでは寒いだろうと覚悟していたが、風は冷たいものの陽が出ていたので助かった。まっちゃん&シーサーペアに元気をもらっていざ整列。ひらけんちゃんもいるはずだけどどこだろうか。キャラコさんがスタートのところにいると言っていたけれど、どこだろうか。大人数のためちょっと見つけられなかった。わーわーずメンバーがたくさん泉州マラソンで奮闘しているのも大きな励みになる。谷口キヨピーの司会のもと、車椅子ランナーを見送って、いよいよ9時、門川市長のかけ声でフルマラソンのスタートだ!

 Dブロックからのスタートなので、前が結構詰まっていて、スタートラインを踏むまでに5分を要した。それにしても、すごい熱気で沿道の応援隊の数がものすごい。応援が途切れずに、そのまま光華女子大のバンド演奏や子ども達のエールを聞きながら四条通に出た。目標タイムを実現するには1キロ5分45秒ぐらいで走る必要がある。とはいっても、四条通ぐらいの広さがあっても、大人数が団子になってひしめき合っているので、1キロ6分20秒ぐらいのペースで進むしかない。ちいさな子どもの元気な応援に続いて野球部の熱ーい応援を聞きながら四条通を直進して桂川に到着。そこを右折すると、やはり川沿いだけあって、風が急に冷たく吹くようになり、水の音を聞きながらの気持ちの良いコースとなる。
 渡月橋は渡らずに向きを東に変えて、前半の難所であるアップダウン・ゾーンに入っていく。この辺りでも、まだゆっくりのペースでのランが続き、予定よりも時間がかかっている。「うーん、このペースで行くと自己ベストは出ないのだが、道も狭く、ランナーも多いのでいたしかたないか。」ときおり、「宗平!!」と呼んでくれる声がしていて、知り合いかもしれないが、ビブスに書いている名前を呼んでくれているのかもしれない。いずれにしてもありがたい!
 JRの高架を上り下りし、8キロ付近の広沢の池のエイドでしっかり水分補給する。なぜって、これより先は上りが続くことになるみたいだから。うん、たしかに道がゆるやかながら上っていく。上りはきついけれど、足でも変化が楽しめる面白いエリアでもあるわけだ。
 ほどなくして、仁和寺にさしかかると、袈裟を着たお坊さん達が沿道に出て応援してくれている。吉田兼好の『徒然草』に「仁和寺にある法師」なる話があったけど、マラソンの応援までしてくれるとはありがたや。きぬかけの道を通って、一段階きつい上りをよいしょ!と上って山の自然を楽しんでいると、立命館大学のチアガール達の応援がある。ちょっと遠くてハイタッチできなかったのが残念である。太鼓の応援もここかしこでやってくれていて、活力がみなぎってくる。沿道から「あとちょっとでゴールや!」なんて応援も。
 平野神社を越えて、駅伝コースともなる西大路通を北上する。15キロ地点の給水をもらおうかなとも思ったが、20キロ付近でカモパの松本さんがエイドを出してくれているという情報をもらっていたので、そこまで我慢することにした。カモパのシロクマ監督や麻美ちゃんの元気な応援をもらって、さあ、そろそろここらへんからペースを上げていきたいところだ。
 今宮神社から北に上がっていく辺りからは道が少しすいてきたので、ペースアップしていく。そして、賀茂川沿いの道を北上していく。このコース中の北端に向かっていることもあって、風がとても冷たくなってきて、山が近いことを実感する。まぁ、ある程度寒い方が風に乗ってペースが上がってくるともいえるのだが…。御薗橋を越え西賀茂橋を渡って対岸の加茂街道を南下する。今日はカモパの練習会の日でもあるから、ちょうどこの下の河川敷ではカモパのランニング仲間が走っているはずだと思うと、俄然やる気が出てくる。ペースは1キロ5分40秒くらいまで上がって、混雑のためにブレーキをかけて無駄なエネルギーを使うということも減ってきて、かなり走りやすくなってきた。ジプシーは後半のことを気遣って、もうちょいペースを抑えた方がいいというが、そろそろペースを上げていかないととも思いペースに乗ることにした。
 さて、20キロ地点=松本さんのエイドが近づいてきているはずだ。8キロの所から給水していないので、ちょっと給水の間隔があいてしまった。そして、危うく通り過ぎそうになったのだが、ジプシーがばっちり松本さんを見つけてくれた。マシュマロとゼリーで応援していただき、エネルギーをチャージさせてもらった。ありがとう!元気が出るわー!そして、中間点の21キロを通過。スタートから2時間12分が経過しているので、予定よりは少し遅れているが、後半だいぶ追い上げればまだベストタイムは出せるはずだ。
 ここからは北山通を松ヶ崎の方に向かってひたすら東に進む。聞き覚えのある賑やかな声が「そうちゃーん!」と言ってくれている。茨木でお世話になっているミントJCのメンバーで、大いにパワーをいただいた。近くのエイドにさしかかり、ジフシーがうまい具合にみかんと山一パンをとってくれた。エイドを楽しみにしているのでありがたい限りである。みかんは皮をむいて食べやすい大きさにしてくれているし、チョコパンとアンパンも美味しくいただいて、力がめきめきわいてくる。後方から、ややスローな「ロッキーのテーマ」が流れてくるがちょっと走るにはゆったりかも。
 このマラソン、ここからは折り返しが多くなる。まずは北山通を松ヶ崎辺りで折り返し、再び賀茂川を目指す。しかし、これが直進して賀茂川に行かせてくれない辺りがなんともまぁなところで、途中の下鴨本通をまずは南下しなければならない。北大路まで南下し、Uターンして、また北山に戻ってくることになる。距離を稼ぐためのルートであろう下鴨本通では森脇健児が大きな声でランナーにエールを届けながら走っていた。山中伸弥教授はどの辺を走っているのかな、だいぶ先を走ってることだろう。
 再び北山通を賀茂川に向かって走り始めると、待ってました!の京都スイーツエイドに到着。八つ橋が何種類かあるようだったので、ジプシーに二つとってもらった。一つはあんこが入っていたが、もう一つは少し酸味があったので違う味のものだったのだろう。

 さて、植物園近くの第5関門(26.8km地点)で伴走者がジプシーからかりんとうさんへとバトンタッチされた。京都マラソンでは、事前にこちらが指定した関門で伴走者を一度だけ交代できるとのことで、気持ち新たに後半をスタートさせた。バトンタッチの予定時間を少し過ぎていたから、かりんとうさんも後半挽回せねばと思ってくれていたようで、最初からペースがかなり速く、思わず「もう少しゆっくりでいいですよ」と言ってしまったほど気合いが入っていた。ペースとしては1キロ5分半付近で進んでいる。
 植物園の中を走り抜けた後、北山大橋から今度は賀茂川河川敷に下りる。ここぞまさしく、普段カモパの練習会で走っているので、得意としたいゾーンであり、練習の成果が試される。ただし、狭い道に人どっさりな状況につき、さすがにいつもよりは走りにくい。さて、ここからはかりんとうさんの必殺技がたびたび発動される。よく通る大きな声、それでいてどことなく耳に優しい声で「ブラインドランナー通りまーす!道を少しあけてくださーい!」さすがに周りのランナーは近くにブラインドランナーがいることに気付いて、少し道をあけて、二人が通れるようにしてくれて助かった。こちらの声に応答するような形で「ナイスラン」とか「ともに頑張りましょうね」とか言ってエール交換ができて、楽しいものだ。
 ブラインドランナー&伴走者というスタイルの良いアピールにもなっていたのではないかと思う。ちょっと前の人にぐつかることもあって「ごめんなさい」というと「Oh sorry」なんて声が返ってきて、国際色豊かなランナーが走っていることも感じられた。エイドでみかんやミニトマトなど酸味と水分を補給できて、エネルギー切れを起こさずにすんでいる。
 カモパのベースである出町柳を越え、さらに南下した丸太町で河川敷から上に上がる。そこからは御所の南側に沿って丸太町通を烏丸まで西進し、ここでまたまた折り返しをして、絶えることのない分厚い応援を受けながら、今度は河原町通まで戻ってくる。前半ゆっくりペースだったので、33キロ地点にきてもまだ足は大丈夫だ。足の角質の痛みもあまり感じずにすんでいる。かりんとうさんはやはり「ブラインドランナー通りまーす」を元気いっぱいに叫んでくれていて、ペースを落とさずに、5分半ペースで走らせてもらえた。すると、隣のランナーが「私も○○で伴走してるんですよ」と言っていた。もうちょっとお話を聞きたかったが、「またどうぞよろしく」と言って先を急ぐことにした。
 河原町通を南下し、市役所前のエイドでイチゴをいただく。うん、やはり酸味を欲している。と、そのとき、聞き覚えのある元気な声が…。キャラコさんではないか。スタートのところで会えなかったので残念と思っていたのだけれど、こんなところにワープしてはったとは…。しっかりパワーをもらって終盤の難所に向かう。
 川端通を東一条まで北上し、京大生の応援を受けた後、百万遍からは今出川通を東に進む。ここが終盤の難所で、銀閣寺まで1キロほど上りとなる。38キロ地点での上りはさすがにきつく、足がどんどん重くなっていく。周りのランナーも結構ここはしんどいところだと思うが、かりんとうさんはやはり「ブラインドランナー通りまーす」と叫んでくれるから、こちらも極端なペースダウンをするとなかなかにかっこ悪い。そしたら、横のおっちゃんが「みんなぎりぎりでやってるんや。おまえも頑張らな!伴走もちゃんとやれ!」というなかなかにインパクトのあるユニークなエールをくれた。白川通で折り返し、ここからは今上ってきた分を下っていくことになる。足は重いけれど、下りとなると多少気持ちがラクになる。かりんとうさんに「いけるいける!」と言ってもらいながら、なんとかペースを落とすまいと必死である。このペースで行って、なんとか4時間一桁台を達成したいものだ。
 東山通を丸太町辺りまで南下すると、「あと1キロ」の声があちらこちらから聞こえてくる。そうか、あと1キロか!最後はペースアップしたいところだが、ちょっとその気力は残っていない。なんとかペースはキープすべく、疎水の道までたどり着く。「平安神宮の大鳥居は見えているか?」と聞くと、まだだと言う。あとちょっとと思うが、案外ラスト1キロがくねくね曲がっていて長く感じられる。すると、応援の声が分厚くなってきて、「全力少年」の歌が流れてきた。その軽快なメロディーに乗って少しラストスパートを意識して…ゴールイン!フィニッシュ地点ではなんと市長自ら出迎えてくださった。そして、ボランティアの人達が「おめでとう!」と言って完走タオルとメダルをかけてくださった。完走証もコース図が印刷されたクリアケースに入れてくださり、お疲れ様広場では西京白味噌の美味しい味噌汁をいただいた。

 タイムは
5km 0:32:25
10km 0:30:52
15km 0:29:31
20km 0:28:25
中間点 0:06:24
25km 0:21:20
30km 0:28:22
35km 0:28:41
40km 0:29:55
Finish 0:12:37

 4時間13分35秒、ネットタイム4時間08分32秒!やったぁ!4時間一桁台達成だ!
 前半結構ゆっくりなペースになっていたのだが、その分後半にパワーを温存することができ、後半ペースを上げられたのが気持ちよかった。京都マラソンは、京都市内の西側の自然エリア、中盤の賀茂川、東側の繁華街エリアと、市内を1日でぐるりと一周でき、いろんな地形を五感を使って全身で楽しめてたいへん面白いコースだった。その分、アップダウンや狭い道、折り返しなどもあって記録はねらいにくいのかもしれないが、ジプシー&かりんとうさんと一緒に作戦を練ったおかげで、チームプレイがうまくいっての結果でたいへん嬉しい!ジプシー&かりんとうさん、走りがいのある楽しいマラソン、ありがとう!

ゴールのあと、伴走者らとともに笑顔の宗平さん。手には記録証。