「第27回福知山マラソン・第18回全日本盲人マラソン選手権」宗平君の完走記です

今年もフルマラソンの季節。
毎年11月23日に行われる福知山マラソンに参加してきた。
2月の京都マラソンのときに4時間8分でゴールできたので、今回の目標は4時間を切ることだ。
8分速めるというのはそう簡単なことではないだろうが、サブ4ランナーの仲間入りをしたいものである。
今回の伴走は賀茂川パートナーズでよく伴走してもらっているKさんだ。
本番までにカモパ延長コースでの30キロ練習や高槻お山方面での練習を一緒にしてもらい、よい練習ができた。

そして迎えた当日。
Kカーを出していただき、Kご夫妻とひらけんちゃんと一緒に一路福知山へ向かった。
最近、高速道路がつながってアクセスがよくなったようで、8時前に福知山入りした。
霧がかなり濃く、河川敷は結構ぬかるんでいるが、はたして今日の天気は一体どんな具合になるのだろうか。
ステップで特売のランニングシューズを見たりしている間にスタート時間が近づいてきた。
列に並んでスタートを待っている間、陽射しが暖かく、「長袖・長ズボンではちょっと暑かったやろか」と思っていたが、Kさんによると、8キロあたりからは「天気が変わるかもしれないよ」とのことだった。
実はまさにKさんの言った通りだったのだが…。
そして厳しいレースが待っていた。

10時半、号砲が鳴ってスタートした。
この大会はブラインドの枠があるので、我々は先頭から走らせてもらえる。
とはいっても、前の方から出走する高速ランナーがすぐにどんどん追い抜いていくから、そんな流れに巻き込まれてはならない。
なおかつ、最初の1キロほどは下り坂が続くが、ここで調子に乗ってペースを上げてはならない。
このコースは、最初は福知山の中心地を走り、5キロほど行くと福知山駅を通り、由良川を見ながら、8キロを過ぎるとひたすら田園地帯ののどかなエリアを走り、24キロ過ぎた辺りでUターンする。

今回の目標である4時間切りをするには1キロあたり5分40秒のペースを保つ必要がある。
最初の頃はややそれよりもペースが上がりがちになるので、少しブレーキをかけつつ1キロ5分30秒台を刻むようにした。
朝の雨が上がって、きれいな虹が出ていたと思えば、街中から田園地帯に入ったとたん、雲と風が出てきて、ぱらぱらしぐれ始め、先程の暖かさはどこえやら。
まさに北部の気候といった感じだろうか。
そんなこんなで迎えた最初の10キロは56分台で、順調に予定どおり進んでいる。

24キロ地点まではひたすらまっすぐに走っていくのだが、ところどころアップダウンがある。
沿道の温かい応援は嬉しいが、その中でも名前を呼んでくれる応援は格別だ。
今日、西京極でやっている「ふれあいマラソン」に出場しているみんなもきっと今走ってるころやろなぁと想像を膨らませる。
20キロ地点も予定どおり55分台で通過した。

そして舞鶴に入ったあたりだろうか、しぐれに加えて、急に冷気のような風が吹いてきて、強烈に寒くなってきた。
長袖をきていて助かった。
このあたりでわーわーずのいもちゃんに出会った。
「よし、いもちゃんについていけば、サブ4できるのでは」と思ってしばらくついていったつもりだったのだが、まもなく見失ってしまった。
すると、前方から折り返してくるランナーの中にひらけんちゃんとNさんの颯爽とした姿があった。やはり速い!
ミントのIさんやKさんの知り合いの方にエールをもらいながら(他にも声をかけてもらったのだが、ちょっとどなたかわからなかった)、Uターン地点の24キロを通過した。
このあたりからは水たまりがあちこちにあって、靴が少しずつ水に浸食されていくことになる。

今回はサブ4を意識してか、いつもほどエイドに立ち寄っていなかった。
「このあたりからはエイドに給水と食べ物が出てくるけど、どうする?」とKさんが訊いてくれたので、名物のおにぎりと福知山スイーツエイドには立ち寄りたいと伝えた。
そして、25キロを過ぎた辺りに、いよいよそのおにぎりエイドが現れた。
美味しいしそおにぎりを食べて、さてあと15キロほどがんばるぞ…と思ったあたりから、足が痛くなってきた。

おっと!これは予定と違うぞ!
30キロを少し越えたあたりから足が痛くなってくるだろうなという予定だったので、ちょっと痛くなるのが早いのではないか!
ここまでは1キロ5分30秒台を維持していたが、40秒台になってしまっている。
それでもなんとかこのペースを保てれば、まだサブ4には間に合うはずだ。
反対レーンからフーヤンやたかちゃんの大きな声が聞こえ、ついでKさんのパワフルな声が聞こえてきて、みっきーさんの所在を確認。
テツさんはどこにいるのだろう?
思えば、昨年の福知山は5キロ地点あたりから常にテツさんが真後ろにいて、30キロぐらいまで一緒に走れたおかげで調子が上がったのだが…。
天気はときおり晴れ間が現れるが、だいたいは曇り・小雨で風は冷たい。

Kさんからジェルをもらい、このあたりからは頻繁に給水エイドに立ち寄るようになった。
給水をとった直後は、短い間であってもちょっとエネルギーが出てくる。
30キロ地点は57分台で通過。

さて、去年は30キロあたりに福知山スイーツエイドがあって、子どもがスイーツを手に乗せてくれた。
今年もそれを楽しみにしていて、Kさんも注意して見てくれていたのだが、なかなかそのようなエイドが見つからない。
「もう少し先やったかなぁ」と思いながら先へ進む。
30キロを過ぎるとどんどんペースが落ちていき、Kさんもいろいろとはっぱをかけてくれて、なんとかかんとか走ってるという具合だった。
そんなことで、ペースが6分台に落ちてしまった。
目標とすべき5分40秒のペースからどんどん開きが出てきて、Kさんが「サブ4するにはこの集団についていかないといけない」と言うのだけれど、ちょーっとそれについていくパワーがどうにも出ない。
30キロを過ぎてもペースを落とさずに走れたら、さぞ気持ちのよいものだろうなぁ。
やはり長距離練習が必要なのだろう。
「福知山スイーツはまだかまだか…」とひたすら心待ちに思えども、それなるものはいっこうに現れない。
もう少ししたら出てくるはずや…。(実はこの時点では既に通り過ぎていたようだ。目立つ旗でも立てておいてくれてはったらなぁ…)
スイーツ効果も得られず、ひたすら苦行が続く。
上りにさしかかるたびにペースが落ちていき、35キロ地点では1キロ7分ぐらいに落ちてしまった。

歩きたい衝動にもかられるが、Kさんがこちらの思いを見透かしたように「歩くのだけはやめよう」と言う。
実は福知山ではいつもこの辺りで歩いてしまっているのだ。
Kさんの言葉に救われて、ゆっくりでもなんとか走ることができた。
ちょっと調子が戻るかなというタイミングでお決まりのように上りが現れるのはなんとも辛いところだ。

ちょっとこれではサブ4はかなわない。
ならば、自己ベストの4時間8分を切ろう。
それならまだ現実的な目標になるはずだ。
37キロ地点で「あと5キロ!」という沿道の声に続き、Kさんが「あとは(カモパ練習コースでいうところの)通学橋から帰ってくるだけ」というのだけれど、通学橋から帰る気力が残っていなくて、とぼとぼペースが続く。
しかし、自己ベストの4時間8分を切るならいくら何でもこの辺で6分ちょうどぐらいのペースにまで上げないと間に合わない。
ちょっと遅きに失した感はあるが、38キロからは「残るエネルギーを全て使い切るモード」に変えて、少しでも持ち直すように努めた。
きついけれどなんとかふんばるしかない。
なんとか6分30秒は切れている。

あと3キロのところまで来ると、なんとか頑張れそうな気がしてきた。
「あと5キロ」と「あと3キロ」ではなんだか大きく違う気がする。
ここからマッハで頑張れば、4時間8分に間に合うかもしれない。

40キロ地点に到達。この10キロは1時間6分かかっている。
「マッハ」というスピードには達しないものの、ペースはとりあえず落ちずにすんでいる。
沿道の「おかえりなさい」という言葉がありがたい。

さて、41キロまでやってきた。
最後の1キロは上り坂だ。
マッハでその坂をかっこよく駆け抜けようという気持ちで上る。
やはり1キロ続く坂は長くて、多少はペースダウンしたのかもしれないが、自分なりには最後の坂は満足のいく走りができた。
そして失速することなくゴールイン!
4時間11分00秒(ネットタイムは4時間10分54秒)。

自己ベストには届かなかったが、最後は少し持ち直して、福知山の地で一度も歩かずにゴールできたことは嬉しいし、大事なレースとなった。
サブ4の壁は厚いけれど、やはりここはもう少し練習を積む必要があると思う。
結構寒かったので、無料豚汁の長蛇の列に並ぶのはやめて、着替えることにした。
外に出ると、T12の部で優勝したひらけんちゃんのええ声でのインタビューが行われていた。3時間14分…うーん、速い!
その後、エイドで取り損ねてしまった絶品の福知山栗スイーツ「栗よりうまい十三里」と、福知山野菜を買って、福知山をあとにした。

楽しいときも苦しいときも、終始安定したKさんのナイス伴走のおかげで、安心してストレスなしに42キロを走ることができた。
Kさん、ありがとう!

田園地帯のロードを走る宗平さんと伴走Kさん。。
(写真撮影:大久保さん)