ニューヨークシティマラソンでランタナさん「F70」、YoJo(じょう)さんのレポートです

10月の中頃、久しぶりに針小路さんからメールをいただきました。時期が迫りつつあったニューヨークシティマラソンに、今年もわーわーずからランナーさんと伴走者さんのお二人がご参加というご紹介でした。そこで、ニューヨークのコーディネーターさんに連絡して、ランタナさんと寺本さんのメールアドレスをお伺いし、ご挨拶のメールを差し上げてみたのですけど、頂いていたランタナさんのメールアドレスが間違っており、寺本さんにのみ届いたという形になりました。

私は在米日本人で、ニューヨークシティーマラソンでの視覚障害の方の伴走は15回ぐらいになります。主に日本からのランナーさんですけど、他にもトルコの人、地元フィラデルフィアの視覚障害の方の伴走としてもニューヨークシティーは走ってきています。今回は、大会のオフィシャルペーサー(日本人で初めてです)に選んでいただいたので、主催者側の一員として走り、伴走参加ではありませんでした。しかし、自分のスポンサーをしてくださってる会社がエキスポでブースを開いており、そこの店頭におりましたので、ランタナさんと寺本さんには事前にお知らせしていて、お目にかかることができたら、と思っておりました。

そうして、大会前にエキスポでお二人にお目にかかることができました。ランタナさんは前週に金沢マラソンを走られたということで、ニューヨークでは楽しく完走したいということ。お二人とも、長旅のお疲れを感じさせられない心地よい雰囲気を醸し出されておられました。

大会当日は、私は、4時間半のペーサーということで仕事に従事しました。ハーフ通過が設定よりも6秒早い通過となり、またゴールは2秒早かったのですが、ペーサー63名中、6位の成績でした。ハーフ、ゴールの誤差が1秒、2秒のペーサーも数名おり、世界で屈指のニューヨークシティマラソンのペーサーというのは抜群の精度を誇ります。

ランタナさんとは、エキスポ以来お目にかかれず、同時に私のレースが終わった翌日の月曜日から普通に出勤ですので、そのままお別れもできぬままになってしまいました。

エキスポ会場で記念撮影するランタナさん、YoJoさん、仲間たち。

それから2週間ほど経ったある日のこと。

朝起きて、紅茶を飲みながら、愛読しているあるサイトの記事を読み始めました。このサイトは、マラソンでの不正を告発する有名なサイトなんです。例えば、コースカットをして42キロを走らずにゴールをして入賞してしまっている人。カラーコピーのゼッケンをつけて大会を無料で走る人。そんな人たちの不正を暴きます。不正をしたという疑いをかけられたら、サイトの運営者は本人に連絡をし、不正を認めて、大会に自分で連絡をして記録を削除してもらうなどの行為があれば、記事にされませんが、開き直ったり、繰り返される不正の場合には、ここで暴かれるのです。

その日に私が読んだ記事は「ニューヨークシティマラソンで、伝説のランナーであるキャサリン・スィッツァさんと本当の入賞者を押しのけて女子70-74歳で不正に入賞していたケース」というもの。

70-74歳の年代別で一位として入賞しいていた女性が、実は20代か何かの若い女性であったのです。そのため、元のゼッケンの持ち主である70-74歳の女性は自分が走ったわけでもないので、失格になり、そのためにそれぞれのランナーが繰り上がったということ。

そしたら、繰り上がった結果の三位にランタナさんの名前があるではないですか!びっくりしました。また、その年代の二位入賞者というのは、キャサリーン・スィッァさんというアメリカの女性ランナーの開拓者のレジェンドなんです。エキスポでも大人気で、彼女の本のサイン会とか、握手会のようなものに長蛇の列ができ、人垣が絶えない。そんなレジェンドなランナーにランタナさんは数分差に肉薄する走りとは、もう驚愕としか言いようがないです。キャサリーン・スィッツァさんは、その功績で、ドキュメンタリーの映画にも出ています。

こちらがキャサリン・スィッツァさんのことを扱った日本語記事。
▼産経ニュース
http://www.fujisankei.com/video_library/news/woman-boston-marathon.html
▼CNNのサイト
https://www.google.com/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35099965.html
▼日本経済新聞 (差別と戦うスイッツァさん)
http://college.nikkei.co.jp/article/104390513.html

また、ランタナさんの三位入賞ですが、世界のニューヨークシティーマラソンで年代別入賞というのは、ランタナさんが一般ランナーとして世界レベルのランナーだということを証明しています。これは、障害者の部ではなくて、一般レースですよね。そんな世界中からのランナーが集まるニューヨークシティマラソンで年代別入賞とは、本当の本当にすごいです。ティファニーから、クリスタルの盾が送られてきますよ。それから、来年は招待選手です。背中に「F70」という特別なエリートゼッケンもつけます。Fというのは、フィメール、つまり女子、という意味です。70というのは、70-74の年代別という意味です。なので、「F70」というのは、前年に年代別で入賞したエリートランナーになりますので、周りから心からの尊敬の視線を送られます。特に、年代が上がるにつれて、周りからの尊敬度も上がるように思います。「若くて速い」は当然ですからね。

ランタナさんには、これを機会に、ぜひとも一般の部で、エリートランナーとして、世界を舞台に大活躍をしていただきたいものです。そして、女子ランニング界のレジェンドであるキャサリン・スィッツァさんと共に、ランタナさんが走ることで様々な人に刺激を与えていって欲しいなと思います。


以下、編集により追記。

公式サイトの年代別入賞者のページ。

上は、公式サイトの年代別入賞者のページです。
YoJo(じょう)さんのレポートで、
ランタナさんの大活躍がまた広く知れるものとなりました。

ところで。
水都大阪ウルトラマラニックの前に、完走メダルを集めていたことを憶えていらっしゃるかたも多いとと思いますが、メダルはアメリカの病と闘っている子供たちへ、勇気の象徴として贈られています。メダル4メテル M4M(Medals4Mettle) Japanボランティア・コーディネーターのYoJo(じょう)さんの活動によるものです。
ランナーの頑張りがこもったメダルによって、子供たちとそのご家族が、病に打ち克つ努力と強い気持ちを得られますように ―― みなさん引き続きメダル集めのご協力をよろしくお願いします。