2009年9月8日(火)毎日新聞夕刊 「ひと汗いかが」欄に、8月23日練習時の取材記事が掲載されました。
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以下に、記事内容を転載します
動きたい:ひと汗いかが 伴走 視覚障害者マラソン練習会・長居わーわーず
◇輪が結び広がる世界
根強いマラソン人気を背景に、視覚障害者の間でもマラソンやランニングに取り組む人が増えている。ただ、視覚障害がある場合、必要なのが晴眼者(見える人)による伴走だ。輪状のロープを2人で握り合い、一緒に風を切りながら走る。大阪市東住吉区の長居公園周回コースで月2回、さわやかな汗を流している「視覚障害者マラソン練習会 長居わーわーず」の練習に参加し、伴走の魅力ややりがいを探った。【遠藤哲也、写真・幾島健太郎】
8月下旬の日曜日午前9時半、同公園周回コース(2813メートル)脇にメンバー44人が集まった。全盲や弱視など視覚障害のある19人と伴走者25人。胸に「視覚障害」「伴走」と書かれた黄色のビブス(ベスト)をシャツの上に着ているのは、周りの人に視覚障害者ランナーとその伴走だと分かってもらうためだ。
大阪はこの日最高気温32・5度。2人1組になって1周を走り終える度にエイド(救援)地点で水分を補給。ペアの相手を交代したりして、練習は約2時間に及んだ。
「いろんな伴走者と話をしながら走るので、自分自身の世界が広がる感じです」。同会代表で弱視の林かよみさん(52)=同市鶴見区=は顔をほころばす。
伴走で最も気を付けなければならないのは安全確保だ。林さんは「起伏のあるコースなら、上りや下りなど足元の注意点を短い言葉で伝えてほしい」。「二人三脚」の要領で足を合わせると、ロープを握る手もしっかり振ることができるという。「こんな花が咲いているとか、周りの様子を教えてもらえたらうれしい」と林さん。
伴走歴8年の井口邦弘さん(65)=兵庫県伊丹市=は「一緒に走ることで、こちらも励みになる」。約1年前から伴走に参加している石崎健二さん(37)=大阪府豊中市=も「ボランティア精神というより、みんなで走るのが楽しい。ただ、(障害者ランナーの)役に立てるならうれしい」とはにかむ。
全盲のランナーの酒元直美さん(44)=大阪市淀川区=は「晴眼者でもけがなどで走れない時があり、その気持ちは、ランナーならよくわかる。お互いに走る仲間なんです」と話す。
記者(45)も林さんの伴走を務め、公園内の様子や家族の話をしながら、コースを約20分で1周した。初めは「二人三脚」を意識し過ぎてぎこちない走り方だったが、次第にスムーズに。車が前から近づいて来た時、「車です」と伝えるとともに、伴走ロープを引き寄せたが、力が弱かったらしく、「こんな時は強く引っ張って」と林さん。安全確保を心掛けて走り終えると、1人で週末にジョギングをしている時とは違った爽快(そうかい)感を味わうことができた。
◇各地にあるグループ
伴走ロープの「わ(輪)」と仲間の「わ(和)」をもじって命名された「長居わーわーず」は99年発足。メーリングリストの会員は160人で、練習会には毎回40〜50人が参加。こうしたグループは各地にある。「長居わーわーず」(https://waawaas.sakura.ne.jp/waawaazu/)への問い合わせは、大阪市長居障害者スポーツセンター(06・6697・8681)まで。
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