講習会では、視覚障がい者への声のかけ方や一般的な誘導方法、伴走についてご説明しています。
講習会は約1時間で、講習会が終わりましたらブラインドランナーと一緒に走る練習をします。
伴走講習会とは?
1. 見えない状態を体験してみよう
アイマスクをつけて、全盲を体験してみよう。
特殊な眼鏡をかけて、ぼんやりと見える弱視、一部のエリアだけがちゃんと見える視野障がいについて体験してみよう。アイマスクをしたまま見えない状態で、ガイドランナーとゆっくり歩いてみましょう。
自分がどちらの方向に向いているのかわからない。
路面の状態や上り下り、階段や段差がわからない。
音に敏感になって、近くを駆け抜ける自転車の音や集団で走る瞬足ランナーの足音にびっくりする。
子どもたちの元気な声や競技場のアナウンスでガイドランナーの声が聞こえにくくなるなど。
はじめは不安で、足が前に出なくなるかもしれません。
少し慣れたら、ガイドランナーとゆっくり走ってみます。
ブラインドランナーはガイドランナーの声かけで、安心感を得ています。
2. 声かけについて学ぼう
視覚障がい者への適切な情報の伝え方についてご説明いたします。
駅などで視覚障がいの方を見かけたら、いきなり体に触れると視覚障がい者はびっくりします。
そのため、最初は「どうしましたか」、「お手伝いしましょうか」と声かけします。
通勤・通勤コース、自宅周辺など慣れた道の場合には、手引きや誘導が不要な場合もありますので、
まずは声をかけて、視覚障がい者の希望を聞いてみてください。
回答する場合には、うなづく、首を振るなどではなく、
「わかりました」、「少しわからないところがあります」などのように、
返事を声に出して伝えるようにしてください。
また、視覚障がい者が、階段やエスカレーターの乗り口やトイレ内などで迷っている際には、
「上り階段は右斜め前です」、「洗面台は左側です」のように方向を伝えていただけると助かります。
駅のホームから転落しそう、交差点上で立ち止まっているなど危険な場合には、
緊急時には腕をつかんでもかまいませんので、迷わずに声をかけてください。
3. 手引き・誘導について学ぼう
視覚障がい者の移動を介助することを「手引き」や「誘導」といいます。
伴走の前後にはどのように案内するか?
駅や外出先で、視覚障がい者を介助するには?
視覚障がい者を誘導するときには、「手引き」、「誘導」しますと伝えた上で、
白杖を持つ手の反対側に立ち、視覚障がい者が介助者のひじか肩を持てるようにしてください。
介助者は、視覚障がいの方の半歩前を歩くようにします。
「手引き」、「誘導」の際には、「幅」が重要になります。
伴走だけでなく、ふたりで歩くときには「2.5人分」の横幅が必要になります。
幅が不十分な場合には、視覚障がいのある方が壁や周囲の人と接触するおそれがありますので、ご注意ください。
手引き・誘導の際には、「ここから階段です」、「エスカレーターが終わります」のように、状態の始まりと終わりを確実に知らせてください。
階段・スロープについては、「ここから上り階段です」、「坂道を下ります」のように、上り・下りを知らせてください。
段差が一段の場合には、段(段差)がありますという誘導では、段差がひとつだと思ってつまづくことがあります。
「一段上ります」、「一段大きく下がります」のように、上り・下りをはっきりと知らせてください。
段差が複数ある場合には、「二段上ります」や「何段か下ります」のように、上り・下りをはっきりと知らせた上で、
段差が続くことを明確に伝えてください。
階段では、段数を伝えると、数を間違えてつまづくことがあります。そのため、「ここから上り階段です」、「階段が終わります」のように、始まりと終わり、上り・下りをはっきりと伝えてください。手すりがある場合には手すりがあることを伝えて、視覚障がい者の希望があれば、手すりまで案内してください。階段が変則的な場合には、「幅の広い階段です」、「ちょっと高い階段を下ります」、「らせん階段が続きます」のように階段の状態を知らせていただけると助かります。
段差、特に階段では、転倒するとケガにつながる可能性があります。そのため、視覚障がい者が白杖を使用している場合には、段差や階段の始まりと終わりでいったん停止して、白杖で路面の状態を確認できるようにしてください。
階段やエスカレーターにそのまま直進すると思わぬ転倒やケガにつながるおそれがあります。介助者は、視覚障がいの方の半歩前を歩くようにして、ゆっくりと確実に手引き・誘導するようにしてください。
4. 伴歩・伴走してみよう
一般的には、ガイドランナーが左、ブラインドランナーが右側を走ることが多いです。
特に決まりはありませんので、ブラインドランナーの希望を聞いてみてください。
はじめは難しいかもしれませんが、腕ではなく足を合わせるとリズムが合いやすくなります。
そして、まずは伴走ロープを持って一緒に歩いてみましょう。
伴走ロープも長め短め、一重二重などブラインドランナーによって好みが異なります。
伴走する際は二人三脚のようなリズムで並んで走ります。
伴走でいちばん重要なのは安全の確保です。
長居公園の周回路コースには段差や坂道はほとんどありませんが、自転車と歩行者(特に子ども)と接触することがないように十分注意してください。ランニング中は急に止まれませんので、周囲のランナーと十分な距離を取るようにしてください。
一般的に、側溝のことを伴走では「グレーチング」といいます。長居公園周回路では、プール前周辺に3箇所のグレーチングがあります。特に雨の日はグレーチングやマンホール上ですべりやすくなりますので、グレーチングやマンホールの手前で、「グレーチングです」、「マンホールです」のような声がけをお願いします。
定期練習会では、長居わーわーずのメンバーはビブスを着ています。そのため、ビブスを見て、「ブラインドのAさんとガイドのBさんが一緒に走っています」のようにエール交換をしてみましょう。相手にエールを送る際には、「ガイドの○○です、頑張ってください」のような声かけをすると
自分の存在を伝えやすくなります。
声かけ、路面状態の伝え方なども各ペアによって異なります。
どれぐらい見えていますか?
どのようにすれば走りやすいですか?
腕の振りは、こんな感じでいいですか?
ペースや走行距離は都度伝えたほうがいいですか?
特に伝えてほしい情報はありますか?などなど。
伴走はコミュニケーションから成立しますので、わからないことがあればお相手のブラインドランナーにお気軽にお尋ねください。
「一緒に楽しく走りたい」という気持ちを大切にしてみんなでランニングを楽しみましょう。