パラトライアスリート、TeamSUZUの鈴ちゃんとガイドのさときちさんへのインタビュー

今回はわーわーずホームページ「ブラインドランナーの活躍」コーナー用の記事として、盲ろうのパラトライアスリート、TeamSUZUの、鈴ちゃんと、2018横浜大会からガイドをされているさときちさんにインタビューをしました。
おふたりの挑戦している声をお届けします。

バンザイでゴールする鈴ちゃんとさときちさん
▲ 2018ITU世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会(エイジパラトライアスロン)のゴール写真

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大会参加に、練習にと、いつも活動的な鈴ちゃん。
今年(2018年)に入ってからも既に4戦にチャレンジ。

2018世界トライアスロンシリーズ横浜大会。
ファインキッズトライアスロンin丹波。
トライアスロンIN徳之島。
第7回明石・時感動アクアスロン大会。

まずは盲ろうのパラトライアスリートとして注目度高い
TeamSUZU、鈴ちゃんこと、中田鈴子さんへのインタビュー(通訳・さっちゃん)です。

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わーわーずへのご参加はいつから?

鈴「2011年9月からです」

トライアスロンを始められたのはいつから?

鈴「2013年3月からです」

わーわーずはランニングのクラブですが
そこからトライアスロンをはじめたきっかけは?

鈴「わーわーずのなかにトライアスロンをされているかたがいて。
  海が好きな私は、とても興味をもったのです。」

トライアスロンという競技は昔から知ってて惹かれていたのですか?

鈴「いえ。でも自転車に乗りたかったので、やりたい!と思いました。
  29歳までは自転車に乗ってたんですよ。普通のママチャリですけど。
  自転車は大好きでした。ひとりであちこち自転車でお出かけしましたね。
  でも、だんだん目が悪くなって、ふらふらと。
  家のひとが危ないと思い、もう自転車を使わないよう、
  家の奥にしまいこんでしまったんですよ。
  それを私が勝手にひっぱりだしてまた乗って、とか(笑)」

ではトライアスロンの3種目、スイム・バイク・ランのうち一番好きなのは?

鈴「はい、バイクです」

スイムはどうでしょう?
お住まいは海から遠い奈良寄りの京都ですし、苦手そうな印象うけますけど。

鈴「スイムは2番目に好きです。子供のときは大分に住んでました。
  家から5分のところに海がありました。
  海でしょっちゅう遊んでました。
  浮き輪にのってプカプカ。
  ダイビングもしますし、海は大好きですよ」

泳ぎは得意だったのですか?

鈴「いえ、浮き輪。泳ぎはムリ」

学校の授業で水泳は?

鈴「私の通っていたろう学校では水泳は選択で、必修ではありませんでした」

カナヅチというより、単にこれまで泳ごうとしなかっただけ、
という感じでしょうか。
いまは積極的にスイム練習されてますし、
泳ぐのが苦手というわけではないんですね。
そのぶん、のびしろ、ありそうですね。

鈴「横浜大会の目標はスイムのタイムを縮めることでした。
 前年タイムを縮めることが目標で、今回、スイムのタイムを縮めて、
  全体のタイムも縮めることができました」

横浜では初めてのパートナー、さときちさんでしたが、
いきなりのビッグな大会で不安はありませんでしたか?

鈴「ガイドさんにお願いしていることは、目の代わり、です。
だから、レース中に手話で会話できないことは、まったく問題ありません。
通訳を同伴していますので、大会会場での必要な情報は得られています。
限られた練習時間で頑張れたと思います。
特に呼吸をあわせる必要のあるタンデムの練習が、十分じゃなかったかもしれません。
初日にポテンとコケるし(笑)
でも大丈夫だと信じてました。
練習の足りないぶんは気持ちで補い合えると。
私も自分のもてる経験を精一杯つぎこんで、助けあえばきっといけると。
そして本番でもバッチリうまくいけました」

3種目の好きな順、ランは3番目ということになりますね。
わーわーずとしては残念な答えですけど。
フルの自己ベストは京都マラソンでの5時間18分とのこと。
これならランののびしろもたっぷりあると思います。
わーわーずの練習会にきてガンガン走ってください。
今日はありがとうございました。

鈴「はい、よろしくお願いします。ありがとうございました」

◇◇◇

続いて、今年からガイド役をこなされている
TeamSUZUガイドの、さときちさんへのインタビューです。

わーわーずへのご参加はいつから?

さときち「2016年5月に参加したのが初めてです。
     でも家が遠いので、今までに練習会に2回、
     マラニックに1回だけしか参加できていません」

トライアスロンを始められたのはいつから?

さときち「同じく2016年の7月の
     ジャパンショートトライアスロン赤穂大会が最初の大会です。
     バイクとランは長年やっていたのですが、
     知人の影響でトライアスロンをやってみたいと思うようになったんです。
     その年の3月ごろから練習を始めました。」

わーわーずはマラソン練習会の集まりですが、
そのなかでパラトライアスロンをされているかたもいるというのはご存知でしたか?

さときち「はい。知っています。その時は、トライアスロンの伴走なんて無理やわ〜すごいわ〜
     という感じで聞いていましたね。
     平野さんを通じて鈴ちゃんのガイドの話が来たときはびっくりしました。」

鈴ちゃんの横浜大会のガイドをつとめるのは、
不安とやりがい、どちらも大きかったと思いますが、
大会前の不安とやりがい、どんな感じでしたか?

さときち「不安は沢山ありました。とにかく練習期間が短くて、
     さらに家が遠いので、なかなか一緒に練習する時間がないこと。
     スイムとランは何とかできると思ったのですが、
     タンデムバイクには手こずりました。
     初めて鈴ちゃんと一緒に乗った時いきなりこけて
     『私無理かも..』って真剣にへこみました。
     でも色んなアドバイスをもらって、
     何より鈴ちゃんが後ろですごく上手に乗ってくれるので
     何とか乗れるようになりました。
     十分なバイク練習できなかったので、当日も不安は大きかったです。
     もうひとつは、
     鈴ちゃんが今までの横浜大会でずっとメダルをとっているので、
     そのプレッシャーです(笑)。
     できるだけ考えないようにしていたんですが、
     レ―スが始まってスイム終了時に4位だった時はあせりました。
     鈴ちゃんをメダル無しで京都に帰してたまるかって必死でした。
     良い結果が残せて、タンデムバイクも無事に乗れて、ほっとしています。
     やりがいの方は、初めてのトライアスロンのガイドで、
     しかもあんな大きな大会だったので、もう沢山ありすぎて……。
     こんなに沢山の方に支えて応援してもらった大会は初めてだったので、
     よくテレビでスポーツ選手がインタビューに答えて
     『今まで支えてくれた方々に感謝しています。』
     言っているあれ、本当に同じ気持ちでした。」

その後、いくつかのレースをこなされて、
いろんなことがわかってきたのではないかと推測しますが、
今後の課題はどういったところに置かれてますか?

さときち「手話です!通訳の方々がきちっと伝えてくれますが、
     やはりかんたんなことくらいは自分で直接伝えられるようになりたいです。」

最後に、ランやトライアスロンで、
ご自身単独レースでの目標はどんなところにおかれてますか?

さときち「沢山のレ―スに出たいとか、
     いいタイム出したいとかいう欲があまり無いんです。
     ただ、トライアスロンを初めて、ロングディスタンスの
     皆生トライアスロンに出てみたいという目標ができたので、
     出場、完走できたらなぁと思っています。
     残念ながら今年は落選してしまいました。」

伴走活動とあわせて、どちらも頑張ってください。ありがとうございました。

さときち「はい、がんばります。ありがとうございました。」

鈴ちゃん、さときちさん、おふたり並んでの写真
▲ おふたりが初めて会った福知山マラソン大会会場での写真記念。