和田選手、リオパラ1種目目の5000mは6位入賞

9月7日のリオパラリンピック開会式翌朝に行われた陸上競技のトップ種目、T11男子5000m決勝に出場した和田伸也選手は、16分02秒97で6位に入賞しました。

スタンドに日の丸も見える中、和田選手は、1600mでは7番目ながら、メダル圏内の先頭グループと5秒差の上々の滑り出し。
オーバーペース覚悟で勝負しての自滅を避け、自分のペースをキープして、落ちてきた選手をかわして順位を上げて行く作戦です。

しかし、予定通りにレースを進めたのもここまで。
走りに重さが見られ始めると、1キロ3分10秒ペースをキープできなくなり、2000mでは先頭グループとの差が10秒に開きます。
2600mでその差が17秒に拡大した時には、迫ってきたカストロ選手(エクアドル)にかわされそうにまでなりました。

その後、カストロ選手を突き放したとはいえ、3300mでは、和田選手と先頭の4人との差は23秒、5番手争いのジャン(中国)・カチャル(トルコ)両選手との差も約15秒に開いてしまいます。

ところが、そこから巻き返し、3700mでは、これまで開く一方だった前との差をそのまま保ち、いよいよ追撃開始。

さらにペースを上げて追い上げをかける和田選手、前の2選手が互いに譲らない勝負を展開していたために逆転はなりませんでしたが、それでも、これら2選手との差を少し詰めて、7番目でフィニッシュしました。

なお、和田選手よりも先にフィニッシュした1名が、伴走者が先にフィニッシュラインを越えたために失格となり、和田選手の順位は繰り上がって6位となりました。

[ケニア勢に立ち向かった地元期待のサントス選手だったが]

一方の優勝争いは、2000mで、ケニア勢3選手(キマニ、ビー、サング)とサントス選手(ブラジル)に絞られます。

作戦通りにトップを固めた縦一列のケニア選手3人は、3月の国際大会同様、絶妙のコース取りでレースを支配し、サントス選手を従えて、1キロ3分08~10秒でトラックを周回していきます。

勝負が動いたのは、4000m手前のバックストレート。
それまで、ケニア勢の後ろで息をひそめ、前に出る機会をじっと窺っていたサントス選手。トップを奪うと、次の1周を69秒と、それまでの1周よりも約10秒もペースを上げ、1500m世界記録保持者ムシャイ選手以外のケニア選手を脱落させます。

ラスト1周の鐘が鳴ると、地元期待のサントス選手へのますます大きくなる声援に、次の200mはさらにペースが上がり32秒。

そして、サントス選手とムシャイ選手の一対一の対決に決着がついたのは、ラスト150m。
今度は、ムシャイ選手がスパート。直線で逆襲しようとしたサントス選手を寄せ付けず、ラスト200mを30秒で駆け抜けて金メダル。

ケニア勢の集団戦法を受けて立ったサントス選手、表彰台独占をもくろむ彼らの牙城を崩していきましたが、最後はムシャイ選手のスパートに屈し、1秒44差の銀メダルでした。

なお、この種目、メダリスト3名全員の記録が、前回ロンドン大会のものを大幅に上回るなど、これまでで最もハイレベルな部類に入るものでした。

■公式結果
T11男子5000m決勝 競技開始10時00分
1位 サムエル・ムシャイ・キマニ(ケニア)15分16秒11
2位 オダイール・サントス(ブラジル)15分17秒55
3位 ウィルソン・ビー(ケニア)15分22秒96
4位 ハッサン・フセイン・カチャル(トルコ)15分49秒52
5位 ジャン・チェン(中国)15分53秒47*アジア記録
6位 和田伸也(日本)16分02秒97
7位 ダーウィン・カストロ(エクアドル)16分25秒38
8位 ヌーノ・アルベス(ポルトガル)17分03秒64
失格 エリック・キプトゥー・サング(ケニア)
棄権 クリスチャン・バレンズエラ(チリ)

[先頭の通過]
1000m サング 3分07秒54
2000m サング 6分15秒10
3000m サング 9分23秒41 
4000m サング 12分31秒18

[グラウンドコンディション]
天候曇 気温22度 湿度84% 

[公式結果へのリンク]
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73G_ATM511101.pdf