■1500m予選 和田選手、日本記録で決勝進出
リオパラリンピックの陸上競技、大会4日目の9月11日、和田伸也選手は、8日の5000mに続き、今大会2種目目となる1500m予選の2組目に出場し、4分16秒12の日本記録をマークして、この組3着に入り、14日に行われる決勝への進出を決めました。
和田選手のこの種目での目標は決勝進出。
決勝進出条件は、予選全3組のうち、各組1着とそれ以外のタイム順に上位3名(計6名)ですが、和田選手にとって、着順での決勝進出は困難なことから、自己記録を更新する走りで、できるだけ上の順位に入り、タイム順での決勝進出を勝ち取りたいところです。
その目安となるエントリーランキング6番目のタイムは4分14秒台で、4分17秒97(日本記録)を4月にマークしている和田選手にとっては、決勝進出は、十分に可能なタイムです。
レースがスタートすると、最初の1周400mを1分06秒の4番目で通過した和田選手は、すぐに、5000mでは敗れた中国のジャン選手を抜いて3番手に上がります。
800mの通過は2分16秒、ここでジャン選手が和田選手を抜きにかかりますが、和田選手、次の100mを16秒台にスピードアップさせ、これを阻止します。
ラスト1周の1100mの通過は3分08秒と日本記録ペース、ここからの踏ん張りで決勝進出に望みをつなげたい和田選手、ラスト400mを1分08秒でカバーすると、ジャン選手の追い上げも0秒66差でかわし、この組3着。
着順以外のタイム順で3番目に入り、決勝進出を勝ち取りました。
なお、この組の1着はサムエル・ムシャイ選手(ケニア)、2着にはオダイール・サントス選手(ブラジル)と、5000mの金・銀メダリストが入りました。
[決勝進出を分けた800m地点での攻防]
この1500mで、和田選手が破ったジャン選手は、2008北京パラ1500m・5000mの金メダリストの32歳。2011年以来、国際大会から遠ざかっていましたが、今年3月に復帰。
そのアジアオセアニア選手権では金メダルを獲得。記録は全盛期のものには程遠かったものの、映像からは、そのタイム以上の実力を秘めていることを示唆させ、和田選手の強力なライバルとなることを明らかにした走りでした。
そのレースで印象に残った一つが、ジャン選手の走りの特徴。ジャン選手は、後続の選手が前に出ようとするたびにスピードを上げ、決して前を譲ることはありませんでした。
800m地点で、ジャン選手の逆襲を受けた和田選手は、それを跳ね返しましたが、もしそこで前を譲ってしまっていれば、そこからはジャン選手に前を塞がれ、決勝進出を阻まれていたかもしれません。
和田選手は、パラリンピック・世界選手権のこの種目での、自身初となる決勝進出を決めましたが、この800m地点での攻防で、3番手を死守した和田選手の勝負強さが、ポイントの一つだったようにも思えます。
[1500mも前回大会を大幅に上回るレベル]
5000m同様、この1500mも前回2012ロンドン大会を大幅に上回るレベルでしたが、5000mと異なったのは選手層。
5000mでは、多くのA標準記録突破者がいたものの、実際にエントリーした選手は、大半がメダルの可能性があった選手でした(結果はケニア勢の台頭で、表彰台とそれ以外の選手に差がつくことになりましたが)。
ところが一方、1500mでは、A標準記録突破者の大半の選手がエントリーしてきました。
それは、この大会では1500mのみに絞ってきた選手が多いことを意味することとなり、決勝進出をめぐる争いは大激戦となることが予想されました。
そして、いざ実際のレースでは、各組とも、スタートの号砲と同時に、最初の直線での激しい位置取り争いが展開され、フィニッシュラインまで白熱したレースが続くこととなりました。
■公式結果
T11男子1500m予選(3組1着+3)競技開始9月11日12時23分
予選2組
1着 サムエル・ムシャイ・キマニ(ケニア)4分04秒50
2着 オダイール・サントス(ブラジル)4分05秒34
3着 和田伸也(日本)4分16秒12*日本記録
4着 ジャン・チェン(中国)4分16秒88
5着 ヌーノ・アルベス(ポルトガル)4分36秒32
[先頭の通過]
400m サントス 1分06秒23
800m サントス 2分11秒68
1200m サントス 3分17秒59
[グラウンドコンディション]
天候晴 気温29度 湿度52%
[公式結果へのリンク]
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73H_ATM911900.pdf