2017年「伴走講習会」

報告:実行委員長 丸谷賢司

 7月30日に、大阪府立大阪南視覚支援学校を会場に、一般社団法人大阪市視覚障がい者福祉協会主催、大阪府立大阪南視覚支援学校共催、視覚障がい者マラソン練習会長居わーわーズ協力で、伴走講習会を開催しました。
 講習会には、視覚障がい者ランナー37人、伴走者71人、合計108人の皆さんがご参加くださいました。
 当日の早朝、大雨が降り、計画通り開催できるか心配しましたが、事前に申し込みしてくださいました全員が定刻までに集合され、盛大に始めることができました。
 午前の部は、鈴木邦雄先生による「伴走の理論と実技」の講習が会議室と運動場で行われました。
 プロジェクタを使っての、視覚障がい者介助と伴走の技術論においては、視覚を失うということはどのようなことか、視覚障害がある人々の可能性など、伴走を行うための気持ちの背景についての考えや気配りについて、また、実際の伴走を行うときの具体的なアドバイスについて、教えていただきました。特に体験レンズなどを使用して、全盲以外の弱視者の見え方についても、体験していただくことができました。
 視覚障がい者介助と伴走技術実技では、まず伴走初心者により3階にある会議室から1階の運動場までの誘導を行っていただきました。トラックでは、まずアイマスクを着用しての伴走者同士での視覚障がい体験を行い、その後、ウォーク、スロージョグ、ランとスピードアップし、伴走を体験していただくとともに、そのポイントについて鈴木先生からのアドバイスをいただきました。
 午後の部では中田崇志先生によるレース伴走の実際、「パラリンピックアスリートの伴走経験から」をテーマに、パワフルかつ情熱的なご講演をいただきました。伴走者がランナーに対する言葉の内容により、他のランナーへの影響があったことや、伴走者とランナーとの信頼関係や心の絆についての話、単独のレースではありえないおもしろさなど、大変興味深いお話でした。
 受講生の皆様は、お二人の講師のご講演に引き込まれていった様子でした。
 当日、準備や補助をしてくださいました大阪南視覚支援学校の陸上部の皆様や先生方に心からお礼申し上げます。また、長居わーわーずの皆様には計画段階から当日の運営まで、大変お世話になりました。
 私が陸上を始めた40年近く前では伴走者を見つけることが困難な時代でしたが、現代ではメーリングリストなどで容易になってきています。しかし、いつの時代でも視覚障がい者が走るためには伴走者が必要なことや、最近では視覚障がい者ランナーも増加傾向で、伴走者が不足していることには変わりありません。
 講習会にご参加くださいました方の中から、一人でも多くの方が伴走してくださることを願っています。

(以下、写真8点。撮影:大久保&平野)

講習室にて。指で輪を作り弱視の見え方を教わっています。

運動場にて。鈴木先生の実技講習にはいりました。

運動場にて。メグちゃんペアに見本になってもらって実技講習をする鈴木先生。

運動場にて。受講生は、アイマスク着用しての視覚障がい者と介助者、それぞれを体験しています。

運動場にて。鈴木先生からのアドバイスを受けながら、受講生たちがトラックをまわっています。

会議室にて。午後の部。中田先生の講習がはじまりました。

中田先生の用意された講習用スライド。パラリンピックで伴走中の写真を効果的に使った分かりやすいスライドがたくさん映されました。

会議室にて。100名を越す受講者でいっぱいの会議室。