ブラインドランナーの活躍

私たちブラインドランナーは、一般ランナーとともに
ロードレース5キロや10キロ、そしてハーフにフルマラソン、
今ではウルトラマラソンも伴走者とともに参加して、
自己ベスト目指して走ったり、
仮装して楽しみながら走ったりしています。

そんな市民ランナーと一緒に走る大会だけでなく、
見え方によって障がいクラスを分けて、
ブラインドランナーだけで競う大会も、もちろんあります。
ルールもカテゴリ別にいろいろと決められています。
このコーナーでは、わーわーずメンバーが出場していく、
そんな大会をガイドの吉本さん他レポーターが
大会の見どころと合わせて紹介していきます。
 
目次は こちら

ニューヨークシティマラソンでランタナさん「F70」、YoJo(じょう)さんのレポートです

10月の中頃、久しぶりに針小路さんからメールをいただきました。時期が迫りつつあったニューヨークシティマラソンに、今年もわーわーずからランナーさんと伴走者さんのお二人がご参加というご紹介でした。そこで、ニューヨークのコーディネーターさんに連絡して、ランタナさんと寺本さんのメールアドレスをお伺いし、ご挨拶のメールを差し上げてみたのですけど、頂いていたランタナさんのメールアドレスが間違っており、寺本さんにのみ届いたという形になりました。

私は在米日本人で、ニューヨークシティーマラソンでの視覚障害の方の伴走は15回ぐらいになります。主に日本からのランナーさんですけど、他にもトルコの人、地元フィラデルフィアの視覚障害の方の伴走としてもニューヨークシティーは走ってきています。今回は、大会のオフィシャルペーサー(日本人で初めてです)に選んでいただいたので、主催者側の一員として走り、伴走参加ではありませんでした。しかし、自分のスポンサーをしてくださってる会社がエキスポでブースを開いており、そこの店頭におりましたので、ランタナさんと寺本さんには事前にお知らせしていて、お目にかかることができたら、と思っておりました。

そうして、大会前にエキスポでお二人にお目にかかることができました。ランタナさんは前週に金沢マラソンを走られたということで、ニューヨークでは楽しく完走したいということ。お二人とも、長旅のお疲れを感じさせられない心地よい雰囲気を醸し出されておられました。

大会当日は、私は、4時間半のペーサーということで仕事に従事しました。ハーフ通過が設定よりも6秒早い通過となり、またゴールは2秒早かったのですが、ペーサー63名中、6位の成績でした。ハーフ、ゴールの誤差が1秒、2秒のペーサーも数名おり、世界で屈指のニューヨークシティマラソンのペーサーというのは抜群の精度を誇ります。

ランタナさんとは、エキスポ以来お目にかかれず、同時に私のレースが終わった翌日の月曜日から普通に出勤ですので、そのままお別れもできぬままになってしまいました。

エキスポ会場で記念撮影するランタナさん、YoJoさん、仲間たち。

それから2週間ほど経ったある日のこと。

朝起きて、紅茶を飲みながら、愛読しているあるサイトの記事を読み始めました。このサイトは、マラソンでの不正を告発する有名なサイトなんです。例えば、コースカットをして42キロを走らずにゴールをして入賞してしまっている人。カラーコピーのゼッケンをつけて大会を無料で走る人。そんな人たちの不正を暴きます。不正をしたという疑いをかけられたら、サイトの運営者は本人に連絡をし、不正を認めて、大会に自分で連絡をして記録を削除してもらうなどの行為があれば、記事にされませんが、開き直ったり、繰り返される不正の場合には、ここで暴かれるのです。

その日に私が読んだ記事は「ニューヨークシティマラソンで、伝説のランナーであるキャサリン・スィッツァさんと本当の入賞者を押しのけて女子70-74歳で不正に入賞していたケース」というもの。

70-74歳の年代別で一位として入賞しいていた女性が、実は20代か何かの若い女性であったのです。そのため、元のゼッケンの持ち主である70-74歳の女性は自分が走ったわけでもないので、失格になり、そのためにそれぞれのランナーが繰り上がったということ。

そしたら、繰り上がった結果の三位にランタナさんの名前があるではないですか!びっくりしました。また、その年代の二位入賞者というのは、キャサリーン・スィッァさんというアメリカの女性ランナーの開拓者のレジェンドなんです。エキスポでも大人気で、彼女の本のサイン会とか、握手会のようなものに長蛇の列ができ、人垣が絶えない。そんなレジェンドなランナーにランタナさんは数分差に肉薄する走りとは、もう驚愕としか言いようがないです。キャサリーン・スィッツァさんは、その功績で、ドキュメンタリーの映画にも出ています。

こちらがキャサリン・スィッツァさんのことを扱った日本語記事。
▼産経ニュース
http://www.fujisankei.com/video_library/news/woman-boston-marathon.html
▼CNNのサイト
https://www.google.com/amp/s/www.cnn.co.jp/amp/article/35099965.html
▼日本経済新聞 (差別と戦うスイッツァさん)
http://college.nikkei.co.jp/article/104390513.html

また、ランタナさんの三位入賞ですが、世界のニューヨークシティーマラソンで年代別入賞というのは、ランタナさんが一般ランナーとして世界レベルのランナーだということを証明しています。これは、障害者の部ではなくて、一般レースですよね。そんな世界中からのランナーが集まるニューヨークシティマラソンで年代別入賞とは、本当の本当にすごいです。ティファニーから、クリスタルの盾が送られてきますよ。それから、来年は招待選手です。背中に「F70」という特別なエリートゼッケンもつけます。Fというのは、フィメール、つまり女子、という意味です。70というのは、70-74の年代別という意味です。なので、「F70」というのは、前年に年代別で入賞したエリートランナーになりますので、周りから心からの尊敬の視線を送られます。特に、年代が上がるにつれて、周りからの尊敬度も上がるように思います。「若くて速い」は当然ですからね。

ランタナさんには、これを機会に、ぜひとも一般の部で、エリートランナーとして、世界を舞台に大活躍をしていただきたいものです。そして、女子ランニング界のレジェンドであるキャサリン・スィッツァさんと共に、ランタナさんが走ることで様々な人に刺激を与えていって欲しいなと思います。


以下、編集により追記。

公式サイトの年代別入賞者のページ。

上は、公式サイトの年代別入賞者のページです。
YoJo(じょう)さんのレポートで、
ランタナさんの大活躍がまた広く知れるものとなりました。

ところで。
水都大阪ウルトラマラニックの前に、完走メダルを集めていたことを憶えていらっしゃるかたも多いとと思いますが、メダルはアメリカの病と闘っている子供たちへ、勇気の象徴として贈られています。メダル4メテル M4M(Medals4Mettle) Japanボランティア・コーディネーターのYoJo(じょう)さんの活動によるものです。
ランナーの頑張りがこもったメダルによって、子供たちとそのご家族が、病に打ち克つ努力と強い気持ちを得られますように ―― みなさん引き続きメダル集めのご協力をよろしくお願いします。

和田選手、再び日本記録上回る、世界記録にはあと12秒。福岡国際マラソン

12月4日に行われた福岡国際マラソンで、和田伸也選手は、世界記録には12秒及ばなかったものの、今年2月に自身がマークした日本記録を1分35秒上回る2時間32分11秒をマークしました。

和田選手のここ数年のフルマラソンは、日本代表選考レースであったり世界大会だったりと、タイムよりも、どちらかといえば順位を求められる大会が大半で、確実に結果を残すための堅実な走りが求められていました。

しかし、今大会はそのような大会でないため、記録狙いとしての出場。
少なくとも、自身の持つ日本記録更新(2時間33分46秒/2016年)、そして、T11男子の世界記録(2時間31分59秒/Cionna Andrea・イタリア/2007年)やびわ湖毎日マラソン参加資格(2時間30分00秒以内)を目指し、大会に臨みました。

序盤から、5キロラップタイムで概ね18分を切るペースで進んできた和田選手、中間点を1時間16分01秒の世界記録ペース、30キロは1時間47分51秒と、世界記録をわずかに上回るペースで通過します。

35キロまでの5キロは18分17秒。ややラップタイムを落としたものの、いつもはここから大幅にスピードアップをしていく和田選手、依然として世界記録に期待を持たせる走りでした。

しかし、いつも以上の積極的な走りが影響したためか、40キロまでの5キロが18分07秒と、思ったほどペースが上がりません。
最後の2.195キロの頑張りも、7分54秒まで上げるにとどまり、日本記録は更新したものの、世界記録にはわずかに及びませんでした。

とはいえ、終盤もしっかり粘ってイーブンペースで走り切った今大会、20キロ以降の5キロごとで30番前後ずつ着実に順位を上げていき、後半だけで130番以上も順位を上げる129位(出場者373名)でのフィニッシュを見せました。

中でも、40キロまでの5キロでは、5キロ毎で最大の35番のジャンプアップ、最後の2.195キロでも17番も順位を上げ、これら各区間のラップタイムは63番目、52番目でした。

今大会では、和田選手の爆発的なスパートは影をひそめましたが、それでも、いわゆるエリート大会である福岡国際マラソンで、終盤に次々と他の選手を抜いていった走りは、後半に強い和田選手の持ち味を十分に発揮したといえるでしょう。

出場したフルマラソンでは、国際大会では順位、国内大会では日本代表獲得や日本記録更新など、何らかの結果を確実に出し続けてきた和田選手。
リオパラリンピックから2か月半、短いリフレッシュ期間を経て、以前から出場を希望していたこの福岡国際マラソンでも、日本記録を上回る結果を残しました。

[注]記録の公認について
今大会は日本陸連公認大会であるため、日本パラ陸連登録選手である和田選手の記録は、必要な審査をパスすると視覚障害T11男子の日本記録として日本パラ陸連に公認される。
また、IAAF(国際陸連)ラベルロードレースでもあるため、記録は同様にIPC(国際パラリンピック委員会)公認となる。

[参考]2011年以降の和田選手のフルマラソン結果
2011クライストチャーチ世界選手権/銅メダル
2011福知山マラソン/日本記録に約1分に迫る自己ベスト(パラ代表選考大会)
2012ロンドンパラリンピック/5位入賞
2012福知山マラソン/日本記録保持者となる(世界選手権代表選考大会)
2013リヨン世界選手権/銀メダル
2014別府大分マラソン/セカンドベスト
2014防府マラソン/日本記録更新
2016別府大分マラソン/日本記録更新(パラ代表選考大会)
2016リオパラリンピック/5位入賞
2016福岡国際マラソン/日本記録更新
*上記の日本記録は、全てアジア記録にもなっています。

■公式結果より 
和田伸也(若ちゃんFRC)2時間32分11秒 129位

[5kごとのラップ/最後は2.195k]
17分59秒、17分51秒、18分10秒、18分07秒、
17分45秒、17分59秒、18分17秒、18分09秒、7分54秒
前半;1時間16分01秒 後半1時間16分10秒

[完走率]
エントリー;417名
出場者;373名
完走者;306名
完走率(完走者/出場者);82.0%

[5kごとの順位の変化]
05k;292位→10k;279位→15k;273位→20k;263位→
25k;232位→30k;208位→35k;181位→40k;146位→フィニッシュ129位

[終盤の5kラップタイムの順位]
30k~35k(18分09秒);131番目
35k~40k(7分54秒);63番目
40k~フィニッシュ地点;52番目

[気象データ/福岡市・気象庁観測値]
12時 気温11.5度 南南東の風3.0m/s 湿度94%
13時 気温11.9度 南東の風2.6m/s 湿度92%
14時 気温12.3度 東南東の風1.8m/s 湿度94%
15時 気温12.6度 南東の風3.8m/s 湿度93%
*12時以降の降水量は0でしたが、テレビでは雨が降ったり止んだりの天候でした。
*競技開始12時10分

■大会公式サイト
http://www.fukuoka-marathon.com/

■大会関連記事
リオの絆が力に、全盲ランナー和田さん日本新/朝日新聞デジタル(12月4日)
http://www.asahi.com/articles/ASJD43RSRJD4TIPE00L.html

和田伸也さん、2016年度ランナーズ賞を受賞

パラリンピックや世界パラ陸上でのメダリストである和田伸也さんが、2016年11月、月刊誌『ランナーズ』などでもおなじみのアールビーズスポーツ財団による「ランナーズ賞」を受賞されました。

ランナーズ賞とは、市民ランニングの普及、発展に貢献した人物や団体などを毎年表彰するもので、今年で29回目となります。
詳しくは下記リンクをご覧ください。

第29回ランナーズ賞(ランネット公式サイト)
https://runnet.jp/award/detail_n29.html

なお、長距離・マラソン選手の練習は、いつも速いペースで走っているのではなく、会話のできるジョギングペースで走る日もあります。

したがって、パラリンピックに出場するような視覚障害者ランナーでも、必ずしも、速い人だけが伴走者、ということはありません。

上記リンク内の和田さんの記事中に、100人の市民ランナーの伴走者がいる、との意の記述がありますが、この中には、和田さんのレースの伴走をできる人から、ジョギングなら一緒に走れる人まで、いろいろな伴走者がいます。

これからも、様々な人と共に、和田さんは前へと進んでいくことでしょう。

和田選手、3種目全てで入賞。マラソンで5位

リオパラリンピック陸上、大会11日目、視覚障害T11/T12男子マラソンに出場した和田伸也選手は、このレース終盤、自分の全てを出し切る素晴らしい走りで、2時間36分50秒での5位入賞を果たしました。

和田選手を含む3名が出場した日本人選手は、岡村正広選手が2時間33分59秒で銅メダル、堀越信司選手は2時間36分50秒で4位と、岡村選手を筆頭に、日本人選手が5位までに3人続けてフィニッシュしました。

【とにかく全てを出し切って終えると決意した、35キロ地点からの激走】

この大会に、和田選手は日程順に5000m・1500m・マラソンに出場。車イスの選手では、中長距離マラソン3種目エントリーは特に珍しくなく、それ以上の種目に出場する選手もいますが、立位の選手ではきわめて稀です。

今回、このようなエントリーをしている選手は、和田選手以外には、ライバルのクリスチャン・バレンズエラ選手(チリ)のみ。しかし、バレンズエラ選手は、5000mを棄権した後は、傷めていたふくらはぎを1500mで悪化させ、マラソンは欠場となりました。

さて、日なたでの気温が35度を超えたこの大会、和田選手のレースプランは、日本チームのコーチのアドバイス通り、前半は自重、勝負は35キロから。具体的には、35キロまでは、いつもより1キロ当たり10秒以上ペースを落として、キロ3分50秒~55秒ペース。

一方、結果的に無理なペース設定により途中棄権を余儀なくされた選手がいたため、プラン通りの走りをしていた和田選手は、順位が5位に繰り上がり、35キロ地点を迎えます。

途中棄権した選手が「コースには日陰もなく、道路は熱したフライパンのようで、まさに地獄だった」と語ったようなレース、いくら設定通りのペースとはいえ、和田選手に、決して余裕があったとはいえませんでした。
しかし、それでも気合いを入れてペースを上げると、自身でも驚くような力を出します。

35キロまでの5キロを19分27秒に対し、その40キロまでの5キロは、これまでの最速となる17分15秒。これは、優勝した選手よりも速く、全選手中2番目のタイムでした。

もう順位やタイムのことは考えず、今走っているマラソンだけでなく、3種目に出場したこの大会そのもののゴールとして、4年間積み上げてきたものを、ここで全て出し切ろうと決意したラスト7キロ。

あと400mで相次いで両脚が攣ってしまったものの、それまでの気迫そのままに脚を動かし、2時間39分52秒の5位でフィニッシュラインを越え、自身のこの大会を締めくくりました。

[今大会の和田選手の成績]
2016リオディジャネイロ大会
 1500m(予選)4分16秒12/当時の日本新
    (決勝)4分15秒62/6位入賞・日本新
 5000m(決勝)16分02秒97/6位入賞
 マラソン 2時間39分52秒/5位入賞*T11・12コンバインド

‐補足‐
今大会のマラソンはT11(全盲)とT12(弱視)のコンバインドで実施され、T11の和
田選手は、全体では5位でしたが、T11クラス(出場選手3名)の中ではトップでした

同一部門での全盲と弱視の競技は、全盲が不利なことは明白ですので、マラソンも15
00mや5000m同様、T11クラス単独での実施が理想です。

しかし、競技を成立させる(=メダルの対象種目となる)には、一定基準の参加国数
・出場人数を満たす必要があり、マラソンでT11クラス単独実施を実現させるには、
現状よりもさらに、出場国と選手数を増やす必要があります。

なお、T12は同じ弱視のT13クラスとコンバインドにすればいいはずだ、との考えは当
然でしょうが、現時点では、T13クラスのマラソン選手はT11よりも少なく、今大会で
は競技が実施されませんでした。

とはいえ、陸上競技の結果は、勝負だけでなく記録の面でも評価され、メダルは難し
くても、世界記録(いつかは元保持者になるにしても)で名前を残すことも可能です

現在のT11男子マラソンの世界記録2時間31分59秒に対し、和田選手の自己記録は2時
間33分46秒。
世界記録更新が可能な位置にいる和田選手、5000mのスピードがあるうちに、世界記
録を狙うことになるでしょう。

【シェントフ選手、世界大会3連覇】

30キロ地点で、後続に1分差をつけてトップにいたグスタボ・ニエベス選手(スペイン)。しかし、暑さに倒れてしまい、有力選手では2人目の途中棄権。

一方、ちょうどこの付近からは、マラソンの勝負所。

それまで3位の位置で勝機を窺っていたT12クラス世界記録保持者エル・アミン・シェントフ(モロッコ)選手が、2012ロンドンパラ金メダリストのアルベルト・スアレス・ラソ(スペイン)選手を逆転し、そのままトップを譲らず、2時間32分17秒で金メダル。

これで、2013・2015世界選手権、そして今大会と世界大会マラソン3連覇を達成。
また、この3日前のT13男子5000mの銀メダルと合わせて、シェントフ選手は今大会で2個目のメダル獲得となりました。

既に暑さで体力の限界近くにあり、優勝の望みが遠のいていったスアレス・ラソ選手。途中棄権を避けるべく、銀メダル確保を目指すことを選択し、シェントフ選手の54秒後にフィニッシュ。

3,4,5位は、「前半は自重、勝負は35キロから」の作戦通りに、暑さを考慮しての後半勝負のペースを選択し、チャンスを我慢強く待った日本勢が続きました。

35キロまでは5キロ18分20秒(キロ3分40秒)ペースを刻んでいた岡村正広選手は、次の5キロを17分00秒(キロ3分24秒)にまで上げるロングスパートで銅メダルを決定づけ、2時間33分59秒でフィニッシュ。

30キロ過ぎまでは岡村選手と並走していた堀越選手は、その後の転倒で、走りのリズムを崩したためか、勝負所としていた35キロを前に、岡村選手に引き離されて4位(2時間36分50秒)。

そして、15キロ以降ずっと、ガブリエル・マッチ選手(ポルトガル)に1分差での追撃を受けていた和田選手は、最後の7キロをマッチ選手よりも3分も速いタイムでフィニッシュゲートに突き進み、5位入賞を勝ち取りました。

■公式結果 陸上11日目/9月18日
T12男子マラソン決勝(*T11/T12コンバインド)9時00分競技開始
1位 エル・アミン・シェントフ(モロッコ)2時間32分17秒
2位 アルベルト・スアレス・ラソ(スペイン)2時間33分11秒
3位 岡村正広(日本)2時間33分59秒
4位 堀越信司(日本)2時間36分50秒
5位 和田伸也(日本)2時間39分52秒
6位 ガブリエル・マッチ(ポルトガル)2時間43分49秒
7位 ジョージ・ピナ(ポルトガル)2時間55分47秒
8位 サンディ・ノバック(スロバキア)3時間02分36秒
途中棄権 グスタボ・ニエベス(スペイン)
途中棄権 エルキン・アロンソ・セーナ・モレノ(コロンビア)
失格 ガド・ヤーコニ(イスラエル)

[先頭の通過]
5キロ スアレス・ラソ 17分38秒
10キロ グスタボ 35分28秒
15キロ スアレス・ラソ 53分12秒
20キロ グスタボ 1時間10分47秒
中間点 グスタボ 1時間14分40秒
25キロ グスタボ 1時間28分19秒
30キロ グスタボ 1時間46分01秒
35キロ シェントフ 2時間05分34秒
40キロ シェントフ 2時間23分31秒

[気象コンディション]
スタート時 天候晴 気温23度 湿度89% 
終了時 天候晴 気温28度 湿度66% 

[結果へのリンク]リンク先はpdfファイルです
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73K_ATMM12101.pdf

[和田選手の通過順位とタイム]*カッコ内はラップタイム
5キロ 7位 18分56秒 
10キロ 7位 38分05秒(19分09秒)
15キロ 7位 56分55秒(18分50秒)
20キロ 7位 1時間16分12秒(19分17秒)
25キロ 7位 1時間35分23秒(19分11秒)
30キロ 6位 1時間55分03秒(19分40秒)
35キロ 5位 2時間14分30秒(19分27秒)
40キロ 5位 2時間31分45秒(17分15秒)
フィニッシュ 5位 2時間39分52秒(8分07秒)

中間点 7位 1時間20分28秒
フィニッシュ 5位 2時間39分52秒(1時間19分24秒)

近藤選手、念願のパラリンピックで5位入賞

リオパラリンピック陸上、大会11日目、パラリンピック初開催となった視覚障害T11/T12女子マラソンに出場した近藤寛子選手は、安定したペースでレースを進めると、40キロまでの5キロで最速ラップをマークし、3時間23分12秒で5位入賞を果たしました。

日本選手は、近藤選手を含む3名が出場し、道下美里選手が3時間06分52秒で銀メダル、西島美保子選手は、35キロ手前で途中棄権でした。

【自己記録を出した時よりも上回った、40キロまでの5キロラップ】

フルマラソンで記録を出すには、終盤に若干ペースが落ちたとしても、基本はイーブンペース。そのためには序盤は少し遅いと感じるペースで入ることを心掛ける必要があります。
特に暑熱下で行われる場合、オーバーペースは、後半での脱水症状や痙攣を引き起こし、単なるペースダウンにとどまらず、途中棄権につながる可能性がさらに大きくなります。

パラリンピック代表を勝ち取った今年2月の別府大分毎日マラソンでは、3時間18分05秒の自己記録をマークした近藤選手。今大会では、記録は5分ほどその時を下回ったものの、その中身には目を見張るものがありました。

両大会の後半のタイムに注目すると、別大マラソンの後半は1時間40分02秒だったのに対し、今大会では1時間40分40秒。
前後半のタイム差は、別大マラソンが1分59秒でしたが、今大会はわずかに8秒。

中でも、特筆されるのは、今大会での終盤のラップタイム。
別大マラソンの35キロ~40キロの5キロは23分47秒でしたが、今大会は23分18秒。
これは、近藤選手の今大会での最速ラップになりました。

長距離・マラソンの結果は、気象コンディションに大きく左右されるため、記録だけでは一概に評価できない面があります。
気温約30度・湿度約70%の高温多湿下で行われた今大会の視覚障害女子マラソン、この環境下で、最も好結果を引き出せるレース運びをした近藤選手の走りは、記録以上にかなりの評価ができるものだったでしょう。

なお、今大会で完走した日本の視覚障害男女マラソン選手は、近藤選手同様、35キロまでは安定したペースを刻み、そこからペースを上げていきました。
これは、気象条件を考慮したアドバイスを元にしたものだったでしょうが、それを可能にしたのは、レース展開を想定したトレーニングと、順調な調整を抜きにしては語ることはできないでしょう。

【独走で初代金メダリストに、コングスト選手】

パラリンピックでの女子視覚障害マラソンの初代金メダリストの名を刻んだのは、1500mでは2012ロンドンパラ銀メダルなど、数多くの輝かしい成績を残してきたエレナ・コングスト選手(スペイン)。

パラリンピックで視覚障害女子マラソンの実施を耳にすると、歴史を作りたいとマラソンに転向。5000mを17分40秒50(世界記録/2014年)の走力を生かし、2015IPCマラソン世界選手権では銀メダル(3時間02分50秒)。

そして、今大会では、この暑さにも関わらず、3時間01分43秒の自己記録をマークしての金メダルに輝きました。

一方、エントリーランキングは、コングスト選手を上回るトップのタイムだった日本の道下選手、しかし、コングスト選手には2015IPCマラソン世界選手権では36秒差で敗れていました。

序盤から自分のペースをキープし、落ちてきた選手を抜いていくものの、コングスト選手との差は広がる一方。近藤選手同様、35キロからの5キロラップを最速でカバーするも、そこからも差を少し広げられ、3時間06分52秒の2位。

とはいえ、優勝したコングスト選手に立ち向かっていこうとすれば、他の選手のようにオーバーペースで自滅していた可能性があり、銀メダルの勝因は、自分のペースを貫くことができたことかと思います。

ランキング通りの銅メダルを獲得したのは、エドネーサ・ド・ヘスス・サントス・ドータ選手(ブラジル)。
中間点を2位で通過するも、その後はペースが急落して3位。40キロ地点では、後続のジェン・ジン選手(中国)に5分差をつけていましたが、キロ6分30秒にまでペースが落ちて、フィニッシュ地点では、その差が1分にまでなっていました。
しかし、先にフィニッシュした2選手よりもはるかに大声援を受けて、地元の期待に応えました。

続いてフィニッシュしたジェン選手は、前日夕方の1500m決勝で、自身の持つ世界記録を5秒も更新する4分38秒92の世界記録で金メダルを獲得していました。
その翌朝のマラソンでも、キロ4分40秒~50秒の安定したペースを刻み、T11女子クラスの世界記録3時間19分46秒につなげました。

■公式結果
T12女子マラソン決勝(*T11/T12コンバインド)
 陸上11日目/9月18日 9時00分競技開始
1位 エレナ・コングスト(スペイン)3時間01分43秒
2位 道下美里(日本)3時間06分52秒
3位 エドネーサ・ド・ヘスス・サントス・ドータ(ブラジル)3時間18分38秒
4位 ジェン・ジン(中国)3時間19分46秒*T11女子世界記録
5位 近藤寛子(日本)3時間23分12秒
途中棄権 マリア・デ・カルメン・パレデス・ドミンゲス(スペイン)
途中棄権 西島美保子(日本)

[先頭の通過]
5キロ コングスト 21分37秒
10キロ コングスト 43分16秒
15キロ コングスト 1時間04分41秒
20キロ コングスト 1時間25分59秒
中間点 コングスト 1時間30分41秒
25キロ コングスト 1時間47分23秒
30キロ コングスト 2時間08分46秒
35キロ コングスト 2時間30分40秒
40キロ コングスト 2時間51分54秒

[気象コンディション]
スタート時 天候晴 気温23度 湿度89% 
終了時 天候晴 気温28度 湿度66% 

[結果へのリンク]リンク先はpdfファイルです
https://www.paralympic.org/athletics/results/info-live-results/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73K_ATWM12101.pdf

■近藤選手の通過順位とタイム
 *カッコ内はラップタイム
5キロ 7位 24分37秒 
10キロ 7位 48分20秒(23分43秒)
15キロ 7位 1時間12分20秒(24分00秒)
20キロ 7位 1時間36分08秒(23分48秒)
25キロ 7位 2時間00分25秒(24分17秒)
30キロ 6位 2時間24分33秒(24分08秒)
35キロ 5位 2時間48分49秒(24分16秒)
40キロ 5位 3時間12分07秒(23分18秒)
フィニッシュ 5位 3時間23分12秒(11分05秒)

中間点 7位 1時間41分32秒
フィニッシュ 5位 3時間23分12秒(1時間41分40秒)

和田選手、決勝でも日本記録を更新し6位入賞

リオパラリンピック陸上、大会6日目9月13日のT11男子1500m決勝に出場した和田伸也選手は、予選でマークした日本記録をさらに書き換える4分15秒62で6位入賞を果たしました。

これまで、パラリンピックの視覚障害全盲1500mでは、現在のクラス分けの名称・制度(T11クラス)になった2000シドニー大会以降、日本選手でこの種目に出場したのは、2012ロンドン大会・2016リオ大会の和田選手のみ。
もちろん、予選が行われた2ラウンド制以上の大会で、決勝に進出したのも和田選手が初です(世界選手権では、谷口真大選手が2013リヨン大会で同様の内容を達成)。

大会初日の5000mでは、強力なライバル勢に屈し、6位入賞にとどまった和田選手。4日目の1500m予選では、格上のライバル選手との勝負所での対決を制して、決勝進出最後の1枠を勝ち取り、1500mでの目標を達成しました。

しかし、決勝に残ったといっても、そこから中4日でマラソン。連戦の疲労が気になるところですが、この種目でのさらなる結果を求めて、決勝に挑みます。

ところで、中長距離種目の決勝レースの多くでは、果敢に勝負に出た結果、力尽きてしまう選手が出てくることがあります。

この決勝では、他の選手との実力差がある和田選手、オーバーペースでメダル争いの選手を追いかけての自滅で、予想より大きく遅れてきた選手に勝つチャンスを失うことを避けるべく、自分のレースをすることを選択します。

まずは、予選での日本記録を上回ることを目指し、そのための適切なペースで走る、そして、チャンスがあれば1つでも上の順位に挑戦することを目標とした和田選手、最初の200mを33秒、400mを1分07秒と自分のペースでスタートします。

その後、800mが2分15秒、1200mは3分25秒で通過すると、最後のスパートが効いて、予選のタイムを0秒50上回る4分15秒62の日本記録。
和田選手よりも上の順位の選手が、互いに譲らぬ大接戦を展開したため、和田選手の順位は上がりませんでしたが、日本記録再度更新の目標を達成しました。

39歳で1500mの自己記録を更新した和田選手、走力強化の成果であることはもちろんですが、適切なペースでレースを進めることができる(あるいは、トレーニングの成果でそれをできるようにしている)ことが、今でもこの種目で伸び続けている要因でしょう。

‐補足‐
『陸上競技マガジン』2016年10月号(ベースボールマガジン社)p.182に、1500mレースでの各周回のペースが記載されています。

それによると、フィニッシュタイムに対し、各1周のタイムが、1周目25.9%・2周目27.1%・3周目27.5%・ラスト300m19.6%となっており、フィニッシュタイム4分15秒なら、400m1分06秒・800m2分15秒・1200m3分25秒。

日頃からペースを意識して練習しているランナーであれば、最初の300mを少し余裕をもって入ることを心掛けると、自ずと、このようなペースになるかと思います。

【ムシャイ選手、5000mに続き金】

観衆の期待と歓声を受けた地元ブラジルのオダイル・サントス選手は、5000mで敗れたサムエル・ムシャイ・キマニ(ケニア)選手に、ラスト1周の時点で10mリード。
しかし、徐々に差を詰められると、世界記録保持者キマニ選手のラスト150mからのスパートで、逆転されるのも時間の問題に。

惜しくも、世界選手権8個の金メダリストは、2004アテネ大会から出場しているパラリンピックでの、初の金メダルはなりませんでしたが、4分03秒25の自己ベストまで0秒21に迫る走りでした。

なお、サントス選手は、今大会の銀メダル2を含め、障害が今より軽度だったT12,T13時代も含め、パラリンピックでは銀5・銅4を獲得したことになります。

金メダルに輝いたのは、2011クライストチャーチ世界選手権でサントス選手に敗れて以来、サントス選手に勝つことを目標としてきたムシャイ選手。
2012ロンドンパラに続き、この大会でもサントス選手に勝利したムシャイ選手は、ラスト1周を61秒でカバーしての4分03秒25で、両手を上げてフィニッシュラインを駆け抜けて行きました。

銅メダルは、あと1周の鐘と同時に3位に上がってきたセミー・デニス選手(トルコ)。
2012年にT13クラスで4分01秒91、2013年にT12クラスで4分05秒46をマークしていましたが、障害が重くなったT11クラスになっても、その走力を復活させての4分05秒42。

そして、それに続くメダル圏外の選手も素晴らしい走りを見せました。
今大会出場した2レース(5000決勝・1500予選)同様、号砲と共にスタートダッシュを見せて、まずは先頭を取り、好位置でレースを進めたウィルソン・ビー選手(ケニア)が、自己記録を10秒も更新しての4位。

5000mではメダル候補の一人だったものの、1500mに絞ってきたジェイソン・ジョセフ・ダンカリー選手(カナダ)は、あと200mでビー選手を抜いて4位に上がるも、最後はわずか0秒02差で敗れて5位。
39歳のダンカリー選手がマークした記録は、自己記録4分07秒56に0秒42及ばないだけでしたが、この自己記録は、前回の2012ロンドンパラで自身が銅メダルを獲得した時にマークしたものでした。

このように、T11男子1500mは、現在のシステムになった2000シドニー大会以降、最高のレベルとなったこともあり、和田選手は6位にとどまりましたが、記録・内容ともに価値ある内容でした。

【公式結果】
T11男子1500m決勝 競技開始9月13日18時05分(現地時間)
1位 サムエル・ムシャイ・キマニ(ケニア)4分03秒25
2位 オダイル・サントス(ブラジル)4分03秒85
3位 セミー・デニス(トルコ)4分05秒62
4位 ウィルソン・ビー(ケニア)4分07秒96
5位 ジョイソン・ジョセフ・ダンカーリー(カナダ)4分07秒98
6位 和田伸也(日本)4分15秒62

[先頭の通過]
400m ビー 1分05秒43
800m サントス 2分11秒53
1200m サントス 3分16秒74

[グラウンドコンディション]
天候晴 気温35度 湿度30% 

[公式結果へのリンク]
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73G_ATM911101.pdf

山田選手、入賞まであと一歩。21秒差の9位

[山田選手、順位は1番でなかったが、実力の伸びは一番]

パラリンピックでのトライアスロン初開催となった、2016リオデジャネイロ大会、終盤まで8位入賞ラインを死守していた山田敦子選手は、フィニッシュまであと2キロ地点で逆転を許し、21秒差で惜しくも9位でした。

今大会は、前年8月の2015世界パラトライアスロン競技会リオディジャネイロ大会とほぼ同じコースで行われましたが、その時よりもバイクの距離が1.64キロ延びるなどしました。
そのため、両方の大会にも出場していた選手のうち、山田選手以外全員のタイムがその時より3分以上も下回る結果になりました。

しかし、山田選手は逆に3分も短縮。

山田選手、前年までは、今大会に出場している選手には誰にも勝ったことはなく、大差で敗れることも多々ありました。
しかし、毎年、着々と実力をつけてきた山田選手、パラリンピックイヤーの今年、今大会でも勝利したクリスチーン・ロビンス選手(カナダ)に2勝(1敗)するなど急成長。

また、2012ロンドンパラ自転車競技銀・銅メダリストでもあるキャサリン・ウォルシュ選手(アイルランド)には、未勝利でパラリンピックを迎えることになりましたが、事前の予想では「五分五分で勝機あり」にまでこぎ着けました。

実際のレースでは、やはり、バイクセクションで猛追してきたウォルシュ選手に対し、最後のランに入った時点で54秒差。これまでの対戦データからは、逃げ切れるかどうか瀬戸際の差。

結局、最後はウォルシュ選手の脚力に屈しましたが、それでも、ランセクションでは、ウォルシュ選手以上の勢いで迫ってきたロビンス選手には13秒差で逆転を許さず、9位を確保。

一つでも上の順位を目指しての、大健闘の9位でした。

[フィッシュエリアの青いカーペットでの明暗]

金メダルは、故障のため、半年のブランクを経ての大会出場が、このパラリンピックとなったケイティ・ケリー選手(オーストラリア)。
バイクセクション中盤でトップに立ったケリー選手、フィニッシュゲート前の青いカーペットの上では、観衆に向かって喜びの感情を爆発させ、2015年のデビュー以来の無敗記録をさらに伸ばしました。

なお、ケリー選手のガイドのミッシェル・ジョーンズ氏は、トライアスロン初開催となった2000シドニーオリンピックの銀メダリスト。このオリンピック初代メダリストは、パラリンピックでもガイドとして初代メダリストとなりました。

銀メダルは、アリソン・パトリック選手(イギリス)。
得意のランに入った時は、ケリー選手に遅れること約30秒。出場選手中、トップの走力を持つパトリック選手でしたが、蒸し暑さに体力を奪われると、差を縮めるはずのランの中盤以降、徐々に差を広げられ、1分02秒差の2位。
フィニッシュラインを越えた所で、精根尽き果てて倒れてしまいました。

2人の選手が1分の間隔でフィニッシュしたその50秒後に、観衆が見たのは、銅メダルをかけた大決戦。しかし、決着はショッキングでした。

スイムを6位で終えたエリザベス・ベーカー選手(アメリカ)は、バイク・ランで徐々に順位を上げ、フィニッシュまで残り200mで、メリッサ・リード選手(イギリス)をついに逆転。
しかし、ベーカー選手、バイクの前半から襲われていた目まいが悪化し(注:ベーカー選手は弱視)、最後の50mで倒れてしまい無念の4位。

ベーカー選手は、当初、アメリカ代表選出はかなり困難だと思われていましたが、選考レースに照準を絞り、そこで見事に代表の座を獲得。
今大会では、アクシデントにより、メダルにはわずかに届きませんでしたが、これらの大会を経て、重要な大会で勝負強さを発揮する選手であることを十分に示しました。

[公式結果]
1位 ケイティ・ケリー(オーストラリア)1時間12分18秒
2位 アリソン・パトリック(イギリス)1時間13分20秒
3位 メリッサ・リード(イギリス)1時間14分07秒
4位 エリザベス・ベイカー(アメリカ)1時間14分34秒
5位 スザーナ・ロドリゲス(スペイン)1時間15分29秒
6位 ジョリーヌ・ハッカー(オランダ)1時間16分18秒
7位 パトリシア・ウォルシュ(アメリカ)1時間17分55秒
8位 キャサリン・ウォルシュ(アイルランド)1時間22分25秒
9位 山田敦子(日本)1時間22分46秒
10位 クリスチーン・ロビンス(カナダ)1時間22分59秒

[山田選手の各セクションのラップタイム]
補正タイム 3分48秒
スイム750m 13分48秒
トランジション1 1分44秒
バイク22.28k 36分49秒
トランジション2 0分58秒
ラン5k 25分39秒

[コンディション]
スタート時(9月11日11時35分)
天候晴 東南東の風3.4m/s 気温29.2度 湿度85% 水温21.7度

[公式結果へのリンク]
結果
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/TR/PG2016_TR_C77_TRW005101.pdf
コンディション
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/TR/PG2016_TR_C82_TRW005101.pdf

リオパラ見どころ/マラソン18日朝

リオパラリンピック、現地時間で最終日の朝に行われるマラソンに関してです。

[競技開始]
日本時間9月18日日曜21時00分(現地時間18日9時00分)
*3部門同時スタート(視覚障害T12男女、上肢切断T46男子)
*視覚障害はT11/全盲・T12/弱視が合同で実施、同一区分で順位づけされます。

[テレビ放送/ライブ映像]
ない可能性が高いです。

[結果速報]
下記のどちらかで途中経過も見ることができるかもしれません。
男女マラソンとも、T12クラスをクリックし、resultからご覧ください(いずれも英語)。

IPC(国際パラリンピック委員会)公式サイト
https://www.paralympic.org/rio-2016/schedule-results/info-live-results/rio-2016/eng/zz/engzz_athletics-daily-competition-schedule-date=2016-09-18.htm

大会公式サイト
https://www.rio2016.com/en/paralympics/athletics-schedule-and-results/day-18

■レースについて
[T12男子エントリーランキング]
1位 エル・アミン・シェントフ(モロッコ)2時間21分33秒*T12世界記録
2位 省略
3位 グスタボ・ニエベス(スペイン)2時間26分47秒
4位 岡村正広(日本)2時間27分24秒
5位 堀越信司(日本)2時間27分42秒
6位 和田伸也(日本)2時間33分46秒
以下省略

[T12女子エントリーランキング]
1位 道下美里(日本)2時間59分21秒
2位 省略
3位 エドネウサ・ヘスス・サントス・ドータ(ブラジル)3時間03分07秒
4位、5位 省略
6位 西島美保子(日本)3時間17分45秒
7位 近藤寛子(日本)3時間18分05秒

[天気予報]
9時 天候晴時々曇 気温26度 北西の風2m(*スタート時刻)
12時 天候晴時々曇 気温32度 南南東の風6m(*フィニッシュ時間帯)
*最高気温25度で一時雨との情報もありますが、湿度85%。いずれにせよ、ずっと雨が降り続くレースでない限り、マラソンには過酷な条件になる可能性が高いです。

[コース]
南東が海に面したコパカバーナ海岸の往復10キロコースを周回。
なお、このコースは、オリンピックでも使用されましたが、ラジオの解説では、平坦だが、一息つけそうな日陰はほとんどなく、風が強い日は海からの風にも要注意、とのことでした。

[その他]
マラソンも含めて2種目以上出場の選手は一部いますが、中長距離マラソン3種目出場は和田さんのみ。

和田さんは、この大会に向けては、トラック・マラソン3種目入賞(できれば1種目メダル)目指してトレーニングをしてきました。3種目出場は、2012ロンドンパラ、2013リヨン世界選手権に次いで3回目となります。
ただし、今回は1500mで決勝に進出しましたので、これまでと異なるのは、一大会での出場レースが4になることです。

リオパラ見どころ/1500m決勝14日朝

リオパラリンピックの陸上競技、和田さんが出場するT11男子1500m決勝の見どころについてです。

[競技開始]
日本時間9月14日水曜6時05分(現地時間9月13日18時05分)

[テレビ放送]
NHK総合 9月14日水曜5時30分~7時00分
*同じ放送枠で競泳なども中継されるため、他種目のクライマックスの場面と重なると、時差再生になります。

[ライブ映像]
NHK大会特設サイト
http://sports.nhk.or.jp/paralympic/online-listing/day=2016-09-14/discipline=AT/index.html#dayselect=2016-09-14
上記リンクの「トラック&フィールドまとめて後半・9/14AM5:20スタート」をご覧ください。

[結果速報]
大会公式サイト(英語)
https://www.rio2016.com/en/paralympics/athletics-men-s-1500m-t11-final

■見どころ
和田さんは、この決勝の4日後にマラソンも控えていますが、調子に問題がなければ、予選でマークした日本記録を上回るタイムを狙うことになるでしょう。

4分15秒が目標となるなら、1周400mは1分08秒ペース。
ただし、メダル争いは、3分台突入ペースになる可能性もあり、NHK特設サイトからライブ映像をご覧になる場合は、和田さんの1200mの通過は画面に入らない可能性もあります。

しかし、各選手ともラスト1周には鐘が鳴りますので、いつ鐘が鳴るかを聞き逃さないようにすると、和田さんが途中から画面に映らなくなっても、どのようなタイムでフィニッシュするかの予測も可能です。

その場合、最後の直線にいつ映るかを楽しみに、画面に目を凝らしましょう。

なお、優勝争いは、かなり白熱するのではと思います。
2人で集団戦法を取るであろうケニア勢に、地元ブラジルのオダイール・サントス選手、5000mでもメダルの実力がありながら、1500m一本に絞ってきたジョイソン・ジョセフ・ダンカリー選手(カナダ)が挑む図式になるでしょう。

金メダル争いは、5000m同様、最後は、ムシャイ選手とサントス選手との対決になるでしょうが、ムシャイ選手への雪辱に燃えるサントス選手が、地元観衆の大声援を受けて、どのような走りをするかも楽しみの一つです。

1500m予選 和田選手、日本記録で決勝進出

■1500m予選 和田選手、日本記録で決勝進出

リオパラリンピックの陸上競技、大会4日目の9月11日、和田伸也選手は、8日の5000mに続き、今大会2種目目となる1500m予選の2組目に出場し、4分16秒12の日本記録をマークして、この組3着に入り、14日に行われる決勝への進出を決めました。

和田選手のこの種目での目標は決勝進出。
決勝進出条件は、予選全3組のうち、各組1着とそれ以外のタイム順に上位3名(計6名)ですが、和田選手にとって、着順での決勝進出は困難なことから、自己記録を更新する走りで、できるだけ上の順位に入り、タイム順での決勝進出を勝ち取りたいところです。

その目安となるエントリーランキング6番目のタイムは4分14秒台で、4分17秒97(日本記録)を4月にマークしている和田選手にとっては、決勝進出は、十分に可能なタイムです。

レースがスタートすると、最初の1周400mを1分06秒の4番目で通過した和田選手は、すぐに、5000mでは敗れた中国のジャン選手を抜いて3番手に上がります。
800mの通過は2分16秒、ここでジャン選手が和田選手を抜きにかかりますが、和田選手、次の100mを16秒台にスピードアップさせ、これを阻止します。

ラスト1周の1100mの通過は3分08秒と日本記録ペース、ここからの踏ん張りで決勝進出に望みをつなげたい和田選手、ラスト400mを1分08秒でカバーすると、ジャン選手の追い上げも0秒66差でかわし、この組3着。
着順以外のタイム順で3番目に入り、決勝進出を勝ち取りました。

なお、この組の1着はサムエル・ムシャイ選手(ケニア)、2着にはオダイール・サントス選手(ブラジル)と、5000mの金・銀メダリストが入りました。

[決勝進出を分けた800m地点での攻防]

この1500mで、和田選手が破ったジャン選手は、2008北京パラ1500m・5000mの金メダリストの32歳。2011年以来、国際大会から遠ざかっていましたが、今年3月に復帰。

そのアジアオセアニア選手権では金メダルを獲得。記録は全盛期のものには程遠かったものの、映像からは、そのタイム以上の実力を秘めていることを示唆させ、和田選手の強力なライバルとなることを明らかにした走りでした。

そのレースで印象に残った一つが、ジャン選手の走りの特徴。ジャン選手は、後続の選手が前に出ようとするたびにスピードを上げ、決して前を譲ることはありませんでした。

800m地点で、ジャン選手の逆襲を受けた和田選手は、それを跳ね返しましたが、もしそこで前を譲ってしまっていれば、そこからはジャン選手に前を塞がれ、決勝進出を阻まれていたかもしれません。

和田選手は、パラリンピック・世界選手権のこの種目での、自身初となる決勝進出を決めましたが、この800m地点での攻防で、3番手を死守した和田選手の勝負強さが、ポイントの一つだったようにも思えます。

[1500mも前回大会を大幅に上回るレベル]

5000m同様、この1500mも前回2012ロンドン大会を大幅に上回るレベルでしたが、5000mと異なったのは選手層。

5000mでは、多くのA標準記録突破者がいたものの、実際にエントリーした選手は、大半がメダルの可能性があった選手でした(結果はケニア勢の台頭で、表彰台とそれ以外の選手に差がつくことになりましたが)。

ところが一方、1500mでは、A標準記録突破者の大半の選手がエントリーしてきました。
それは、この大会では1500mのみに絞ってきた選手が多いことを意味することとなり、決勝進出をめぐる争いは大激戦となることが予想されました。

そして、いざ実際のレースでは、各組とも、スタートの号砲と同時に、最初の直線での激しい位置取り争いが展開され、フィニッシュラインまで白熱したレースが続くこととなりました。

■公式結果
T11男子1500m予選(3組1着+3)競技開始9月11日12時23分
予選2組
1着 サムエル・ムシャイ・キマニ(ケニア)4分04秒50
2着 オダイール・サントス(ブラジル)4分05秒34
3着 和田伸也(日本)4分16秒12*日本記録
4着 ジャン・チェン(中国)4分16秒88
5着 ヌーノ・アルベス(ポルトガル)4分36秒32

[先頭の通過]
400m サントス 1分06秒23
800m サントス 2分11秒68
1200m サントス 3分17秒59

[グラウンドコンディション]
天候晴 気温29度 湿度52% 

[公式結果へのリンク]
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/AT/PG2016_AT_C73H_ATM911900.pdf