[山田選手、順位は1番でなかったが、実力の伸びは一番]
パラリンピックでのトライアスロン初開催となった、2016リオデジャネイロ大会、終盤まで8位入賞ラインを死守していた山田敦子選手は、フィニッシュまであと2キロ地点で逆転を許し、21秒差で惜しくも9位でした。
今大会は、前年8月の2015世界パラトライアスロン競技会リオディジャネイロ大会とほぼ同じコースで行われましたが、その時よりもバイクの距離が1.64キロ延びるなどしました。
そのため、両方の大会にも出場していた選手のうち、山田選手以外全員のタイムがその時より3分以上も下回る結果になりました。
しかし、山田選手は逆に3分も短縮。
山田選手、前年までは、今大会に出場している選手には誰にも勝ったことはなく、大差で敗れることも多々ありました。
しかし、毎年、着々と実力をつけてきた山田選手、パラリンピックイヤーの今年、今大会でも勝利したクリスチーン・ロビンス選手(カナダ)に2勝(1敗)するなど急成長。
また、2012ロンドンパラ自転車競技銀・銅メダリストでもあるキャサリン・ウォルシュ選手(アイルランド)には、未勝利でパラリンピックを迎えることになりましたが、事前の予想では「五分五分で勝機あり」にまでこぎ着けました。
実際のレースでは、やはり、バイクセクションで猛追してきたウォルシュ選手に対し、最後のランに入った時点で54秒差。これまでの対戦データからは、逃げ切れるかどうか瀬戸際の差。
結局、最後はウォルシュ選手の脚力に屈しましたが、それでも、ランセクションでは、ウォルシュ選手以上の勢いで迫ってきたロビンス選手には13秒差で逆転を許さず、9位を確保。
一つでも上の順位を目指しての、大健闘の9位でした。
[フィッシュエリアの青いカーペットでの明暗]
金メダルは、故障のため、半年のブランクを経ての大会出場が、このパラリンピックとなったケイティ・ケリー選手(オーストラリア)。
バイクセクション中盤でトップに立ったケリー選手、フィニッシュゲート前の青いカーペットの上では、観衆に向かって喜びの感情を爆発させ、2015年のデビュー以来の無敗記録をさらに伸ばしました。
なお、ケリー選手のガイドのミッシェル・ジョーンズ氏は、トライアスロン初開催となった2000シドニーオリンピックの銀メダリスト。このオリンピック初代メダリストは、パラリンピックでもガイドとして初代メダリストとなりました。
銀メダルは、アリソン・パトリック選手(イギリス)。
得意のランに入った時は、ケリー選手に遅れること約30秒。出場選手中、トップの走力を持つパトリック選手でしたが、蒸し暑さに体力を奪われると、差を縮めるはずのランの中盤以降、徐々に差を広げられ、1分02秒差の2位。
フィニッシュラインを越えた所で、精根尽き果てて倒れてしまいました。
2人の選手が1分の間隔でフィニッシュしたその50秒後に、観衆が見たのは、銅メダルをかけた大決戦。しかし、決着はショッキングでした。
スイムを6位で終えたエリザベス・ベーカー選手(アメリカ)は、バイク・ランで徐々に順位を上げ、フィニッシュまで残り200mで、メリッサ・リード選手(イギリス)をついに逆転。
しかし、ベーカー選手、バイクの前半から襲われていた目まいが悪化し(注:ベーカー選手は弱視)、最後の50mで倒れてしまい無念の4位。
ベーカー選手は、当初、アメリカ代表選出はかなり困難だと思われていましたが、選考レースに照準を絞り、そこで見事に代表の座を獲得。
今大会では、アクシデントにより、メダルにはわずかに届きませんでしたが、これらの大会を経て、重要な大会で勝負強さを発揮する選手であることを十分に示しました。
[公式結果]
1位 ケイティ・ケリー(オーストラリア)1時間12分18秒
2位 アリソン・パトリック(イギリス)1時間13分20秒
3位 メリッサ・リード(イギリス)1時間14分07秒
4位 エリザベス・ベイカー(アメリカ)1時間14分34秒
5位 スザーナ・ロドリゲス(スペイン)1時間15分29秒
6位 ジョリーヌ・ハッカー(オランダ)1時間16分18秒
7位 パトリシア・ウォルシュ(アメリカ)1時間17分55秒
8位 キャサリン・ウォルシュ(アイルランド)1時間22分25秒
9位 山田敦子(日本)1時間22分46秒
10位 クリスチーン・ロビンス(カナダ)1時間22分59秒
[山田選手の各セクションのラップタイム]
補正タイム 3分48秒
スイム750m 13分48秒
トランジション1 1分44秒
バイク22.28k 36分49秒
トランジション2 0分58秒
ラン5k 25分39秒
[コンディション]
スタート時(9月11日11時35分)
天候晴 東南東の風3.4m/s 気温29.2度 湿度85% 水温21.7度
[公式結果へのリンク]
結果
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/TR/PG2016_TR_C77_TRW005101.pdf
コンディション
https://www.paralympic.org/static/info/rio-2016/resIPC/pdf/PG2016/TR/PG2016_TR_C82_TRW005101.pdf